藍画廊


新世代への視点2019
阿片陽介展
ー抽象と参照ー
AGATA Yosuke

東京現代美術画廊会議(銀座、京橋地区の10の画廊を中心に発足)は、1993年より「-画廊からの発言- 新世代への視点」を主催してまいりました。
20回目の開催となる2019年展の藍画廊の展示は、阿片(あがた)陽介さんの作品です。
展示風景です。



各壁面の展示です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面方向の床置作品です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の14点が展示室の展示で、その他小展示室に2点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品の詳細をご覧下さい。



左壁面、左端、右端の作品です。
左はタイトル「平めたも」(ペンキ・布)でサイズは1000 × 1000mm、
右は「平めたも」(ペンキ・布)で1000 × 1000mmです。



正面方向の作品2点です。
左は「めたも 六」(陶)で670×500×750mm、
右は「めたも 七」(陶)で480×480×900mmです。



正面方向の作品1点です。
「めたも八」(陶)で550× 510 × 680mmです。



右壁面、左端の作品です。
「平めたも」(ペンキ・布)で450×450mmです。



右壁面、左から2番目、3番目、右端の作品です。
左は「梱包された赤いレンガ」(レンガ・木材)で250×90×150mm、
中央は「無題」(陶)で140×90×185、
右は「梱包された穴のある茶色いレンガ」(レンガ・木材)で245×100×140mmです。



入口横壁面の作品です。
上は「梱包された黄色いレンガ」(レンガ・木材)で255×90×150mm、
下は4点共「ひと影」(レンガ)で85×50×190mm、85×45×195mm、65×50×210mm、90×45×195mmです。

〈作家コメント〉

粘土を使って何もないところから形を作り出す。
その様は木が育ち、枝を払い、接ぎ木して形を成していくようだ。
ものを作ることは、作る以前と以後とで世界が変わることだと思う。
それは私の中の変化でしかないかもしれない。
しかしそれは自分の居場所を作って生きるという、姿勢を示すことでもある。

阿片さんは陶の造形作家で、今までも陶の作品を作ってきました。
しかし今回は平面作品(ペンキ、布)も作れば、レンガの彫像作品もあります。
作家として狭いカテゴリーに留まらず、表現の幅を広げようとする姿勢が顕著になっています。
それでいてテーマは拡散せず、一貫しています。
画廊という空間を意識した制作、展示も今回の特色です。

本展でわたしが注目したのは、床に設置された大きな陶の作品3点です。
特に、そのカタチです。
見たことのないようなカタチでありながら、記憶の深いところに沈んでいるようなカタチ。
未知と既知の間にあって、わたしの記憶を揺さぶります。

その既知とは、わたし個人の記憶を超えた、ヒトの記憶とも呼べるような深層にあるように思えます。
ヒトが生活用具とは異なる、オブジェとしてのカタチを原初に作ったとしたらどのようなものになるのか。
そして、そこにはどんな思いが込められているのか。
つまり、作る(造る)という行為の原点にあるもの。
それを試行錯誤しながら、カタチにする。
阿片さんの作品を見ていながら、そんなことを考えます。

レンガを彫った作品にも、それは見えます。
四角の物体を少しだけ削って、そこにカタチを現す。
自然と祈りを覚えるような、道祖神や地蔵のようなカタチ。
カタチとは何なのか。

今日目にするモノのカタチの多くは、人間工学に基づいています。
このカタチは近代以降の産物であり、人間中心主義のカタチです。
そうではない、カタチ。
そのカタチの記憶。
生命が生まれ、増殖する、アナーキーなカタチの有様。
わたしが探っているのはその辺りですが、阿片さんの表現は懐古ではなく、正しく今(コンテンポラリー)なのが流石で、成程の新世代の視点です。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2009年「たまびやき」藍画廊
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2018年藍画廊個展

画廊からの発言 新世代への視点2019

会期

2019年7月22日(月)ー8月3日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内