藍 画 廊



たまびやき
多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品
阿片陽介 市川薫 清光瑞希 林麻依子

AGATA Yousuke/ICHIKAWA Kaoru/SEIKOU Mizuki/HAYASHI Maiko


「たまびやき」多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品の展示風景です。



画廊入口から見て、左と正面の壁面です。
左壁面に並ぶ4点は林麻依子さんの作品です。
左から、作品タイトル「勤 勉 な 杖」で、作品サイズ500(H)×620(W)×220(D)mm、「軽 快 な 革 靴」で320×450×180、「勇 敢 な コ ー ト」で320×280×890、「清 潔 な シ ャ ツ」で690×360×200です。
正面の2点(組作品)は阿片陽介さんの作品「二人」で、右が「阿」で750×740×950、左は「吽」で750×740×960です。



右の壁面の作品です。
市川薫さんの作品で、「還 る」で2100×3600×300です。



入口横の壁面と小展示室の作品です。
清光瑞希さんの作品で、シリーズタイトルは「パ ラ ダ イ ス 道 中」になっています。
左から、「カ ラ ス 編」で310×300×200、「ト カ ゲ 編」で100×50×50、「カ メ 編」で300×200×150、「ヤ ギ 編」で700×700×400、「ハ ム ス タ ー 編」で50×30×30です。

本展は多摩美術大学工芸学科陶の4年生による選抜展です。
作品はすべて陶を素材にしています。
藍画廊において学生の展覧会は珍しいのですが、水準は極めて高く、学生であること考慮して観賞する必要はありません。
通常と同じく、一人の作家の作品として各々の展示をご覧下さい。



左壁面の林麻依子さんの 「勤 勉 な 杖」と「勇 敢 な コ ー ト」です。
林さんの作品は動物をモチーフにしていますが、動きの捉え方と色彩に優れています。
特に動体の描写力には感心します。

色彩は着色ではなく、粘土に顔料を混ぜ、それを三層にして、細かく削ることで表現しています。
削った痕の紋様が美しく、作品の大きな特徴になっています。
タイトルは制作後に付けられていますが、動物の動き、ポーズが見事にモノに変換されています。



正面壁面の阿片(あがた)陽介さんの「二人」です。
それぞれ「阿」と「吽」と名付けられた組の作品です。
唐三彩の様式を用いた作品で、白、緑、黄、茶、藍などの色釉(いろぐすり)で彩られています。

阿吽(あうん)は社寺の参道の狛犬から来た言葉で、阿形とは口が開いている状態、吽形は口が閉じている状態、合わせると阿吽になります。
古典的な形式、様式を巧みに現代的に活かしていますが、色彩の美しさと、対(つい)の妙に魅かれます。



右壁面の市川薫さんの「還 る」です。
左右とも部分で、左は作品のクローズアップです。
この作品は陶と羽、木材を使用しています。
「還 る」は展示のバージョンとしてフルフラットな展示もありますが、今回はL字型に立て掛けるように展示されています。

陶はご存知の通り、粘土から作られます。
わたしたちが最後に還るのは土ですが、土は人間の生命の素でもあります。
土から植物は育ち、多くの動物もそこに住い、大きな循環(サイクル)を形成しています。
この「還 る」には、そのような意味合いも含まれているように思います。
緻密で、スケールのある力作です。



入口横壁面と小展示室に展示している、清光(せいこう)瑞希さんの「ハ ム ス タ ー 編」と「カ メ 編」です。
清光さんの作品のシリーズタイトルは「パ ラ ダ イ ス 道 中」。
視点のユニークさと、作品が含むユーモアを的確に表した面白いタイトルです。
ともかく、動物を裏側(腹側)から造形する視点は、良い意味での悪意があります。
というより、逆に、物事を真正面から見ようとする真摯な姿勢を感じます。
性器まできっちりと描写した塑像は、確かな技術力と豊かな感性に支えられています。
レリーフの特性も充分に活かされています。



いずれも展示作品を見ても感じるのは、基礎的な技術の確かさです。
その上で、陶の特色を出しながら、各々が各々の方法で表現しています。
ご高覧よろしくお願いいたします。



会期

2009年9月14日(月)-9月19日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内