中野由紀子展
「遠い街、近い場所」
NAKANO Yukiko
中野由紀子展の展示風景です。
各壁面の展示を御覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
正面の壁面です。
右側の壁面です。
入口横の壁面です。
以上の68点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の展示があります。
左壁面、正面壁面、右壁面の作品は画用紙、トレーシングペーパー、アクリル絵の具を使用しています。
作品の詳細を御覧下さい。
左壁面、左端の作品群です。
左壁面、中央の作品群です。
左壁面、右端の作品群です。
正面壁面、左端の作品群です。
正面壁面、右端の作品群です。
右側壁面、左端の作品群です。
右側壁面、中央の作品群です。
右側壁面、右端の作品群です。
入口横壁面の作品です。
タイトル「遠くの建物と駐車場の植木」(パネル・アクリル絵の具)で652×652mmです。〈作家コメント〉
日々の生活の中で、気になった風景を記憶を手繰り寄せながら作品を作っています。
3月の終わりにベルリンに1週間ほど行く機会がありました。
旅行なので、いつもと違う非日常的な気分を味わうとともに、
普段の生活の延長線上のような、そんな感覚を覚えました。
その時の記憶の断片を集めたいと思います。中野さんの展示、前回から大きく変化しています。
前回はキャンバスの作品と不定形の紙の作品が混ざりあった構成でした。
今回は三面の壁面に紙の作品を配置し、キャンバスは入口横壁面の1点に留めています。
その三面の壁面によるインスタレーションが素晴らしい!
67点に及ぶ小品が織りなす風景の絵巻は、見飽きた「いいね!」ではなくて、「最高!」です。
通勤や用事、散歩、旅行の途中に目についたものをアクリルで描き、それを形に沿って切り抜き、壁面に浮かすようなスタイルで展示する。
トレーシングペーパーを描いたものの部分や空白に貼り付け、質感を変えたり、半透明な空間を作る。
それらを自由自在に壁面に並べていく。
平面でありながら立体のような絵画で、作品の影も含めて美しい。
子供ころに愛読した飛び出す絵本が思い出される、楽しい作品です。
右側壁面はベルリン旅行の見聞で「遠い街」、それ以外は「近い場所」になっています。
この人は並々ならぬセンスの持ち主ですね。
描かれたもののフォルム、色、その配置。
それからさりげない視点。
どこにでもある、とりたてて目立ちもしない、美しくもないものを魅力的に見せる。
絵巻のように空間に時間を導入して、あたかも散策するように絵を見せてくれます。
作品技法の中で最も重要なのは、西洋絵画のスタンダートである線遠近法(透視図法)を用いていないことです。
連なる植木や建物への視点が作品ごとに異なり、上から見たり、正面からみたり、横から見たり、下からも見ています。
この多視点の採用が風景をリアルにしています。
輪郭で描く技法と相まって、西洋と東洋のハイブリットな絵画として完成しています。
前週の阿片さんの立体と中野さんの絵画、期せずして今の日本を感じさせるクールな美術になっています。
線遠近法の不自然さについては、近年デビッド・ホックニーの著書が衝撃を与えました。
『秘密の知識』、『絵画の歴史』で詳細に論考を重ねています。
西洋絵画の巨匠が光学装置を用いて、カメラの視点で描いたという説の実証です。
ホックニーは論だけではなく、自身の実作に於いても多視点を用いて風景や静物を描いています。
この中野さんの絵画、ホックニーが見たなら、きっと満足気に頷くと思います。
ご高覧よろしくお願い致します。
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2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展2018年6月11日(月)ー16日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
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