藍 画 廊


新世代への視点2017
中野由紀子展 「近くの空き地、遠くの景色」
NAKANO Yukiko


東京現代美術画廊会議(銀座、京橋地区の10の画廊を中心に発足
)は、1993年より「-画廊からの発言- 新世代への視点」を主催してまいりました。
18回目の開催となる2017年展の藍画廊の展示は、中野由紀子さんの作品です。
展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の21点が展示室の展示で、その他小展示室に5点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品の詳細をご覧下さい。



左壁面、左端と左から2番目の作品です。
左はタイトル「空き地(昼ごろ)」(キャンバス・油彩)でサイズ410×410mmです。
右は「盛り土と鉄の入れ物」(紙・アクリル)でサイズ可変です。



左壁面、左から3番目の作品です。
「近くの空き地」(キャンバス・油彩)で1300×1620mmです。



左壁面、左から4番目、5番目と右端の作品です。
左は「道路に生える(夜)」(キャンバス・油彩)で910×910mmです。
右下は「ふさふさの植木」でサイズ可変です。
右上は「塀」でサイズ可変です。



正面壁面、左端の作品です。
「空き地と遠くの高架下」(キャンバス・油彩)で1620×1620mmです。



正面壁面、左から2番目、3番目と右端の作品です。
左上は「盛り土に生える雑草」(紙・トレーシングペーパー・アクリル)でサイズ可変です。
左下は「とがった植木」(紙・アクリル)でサイズ可変です。
右は「雨と切られた街路樹」(キャンバス・油彩)で910×727mmです。



右壁面、左端と左から2番目の作品です。
左は「空き地の塀」(紙・アクリル)でサイズ可変です。
右は「盛り土(砂利の山)」(紙・トレーシングペーパー・アクリル)でサイズ可変です。



右壁面、左から3番目の作品です。
「空き地(夕方ごろ)」(キャンバス・油彩)で410×410mmです。



右壁面、左から4番目の作品です。
「空き地と遠くの山」(キャンバス・油彩)で1300×1620mmです。



右壁面、左から5番目の作品です。
「円柱のいれもの」(キャンバス・油彩)で910×910mmです。



右壁面、左から6番目と右端の作品です。
左は「枝」(紙・アクリル)でサイズ可変です。
右は「空き地と網」(紙・アクリル)でサイズ可変です。



入口横壁面、左端上と下の作品です。
左は「空き地(夜ごろ)」(キャンバス・油彩)で410×410mmです。
右は「道路に生える(夜中)」(キャンバス・油彩)で273×273mmです。



入口横壁面、中央と右端の作品です。
左は「トラックの荷台と網」(キャンバス・油彩)で1167×1167mmです。
右は「ブロックの上の植木鉢」(紙・アクリル)でサイズ可変です。

〈展覧会コメント〉

日々の生活の中で印象に残ったものや風景を、記憶を辿りながら絵を描いています。
通勤電車の窓の外の風景、散歩中に気になったかたちの木など、それらを自分の中の心象風景として絵画にしています。
見ていてぼんやりとできるような空気感や、浮遊感を感じてもらえたら幸いです。

西洋において風景を主題にした絵画が生れたのは意外に遅く、17世紀ごろです。
それまでは宗教的、神秘的な場面のバックグラウンド(背景)に過ぎませんでした。
その変化、変遷に大きく影響を与えたのは下層階級、ブルジョアジーの需要だったそうです。
いわば、勃興した市民は宗教画よりも風景画を愛好したのです。

さて独立を果たした風景画にその後大きな影響を与えたのはジャポニズムの流行です。
浮世絵ですね。
その大胆な画面構成と鮮やかな色彩は当時の先進的な画家を驚かせました。
他方で写真の発明があり、絵画は光学的な写実や線遠近法から離れていきます。

中野さんの作品はジャンル的には絵画ですが、インスタレーション的要素も大です。
画廊空間に絵画を散りばめたような展示、特にピンで留められた否定形の小さな紙の作品の存在はとてもユニークです。
モチーフになっているのは日常の風景、特に空地と植物やものですが、それが絵巻物のように左壁面から入口横壁面まで一周しています。
描写も透視的に表現する線遠近法は用いず、多元的な視点で画面が構成されています。
マテリアル(素材)は西洋絵画の流れにありますが、描法や空間構成は日本、東洋の絵の流れにあります。
そのハイブリッドな技術と複数の視点の描画が中野さんの作品の特徴であり、利点です。

中野さんの作品を見ていたら、人はなぜ風景を描くのかという素朴な疑問が湧いてきました。
その先には、人は風景に何を見るのかという疑問もありました。
今回の主なモチーフは空地です。
その造形の妙や以前あったであろう建物や樹木、それが喚起する記憶の数々。
時間と空間の遡行は、自分自身の内面への旅と重なります。

空地に見えるのは、しなやかな中野さんの視線であり、遊ぶような眼の動きです。
その中に、つまり風景を眺めるのではなく、風景の中にわたしは入っています。
風景を散策するように中野さんの視点は移動し、わたしも又移動します。
そして中野さんが見た風景を追体験して、わたしも風景の中に何かを見ます。
その何かとは、わたし自身の記憶であり、内側です。
そうして絵画にコミュニケーションが生れ、風景はわたしのものにもなるのです。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト1
プライスリスト2

2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展

新世代への視点2017公式サイト

 

会期

2016年7月24日(月)ー8月5日(土)
日曜休廊
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内