藍 画 廊


髙柳恵里展
TAKAYANAGI Eri

髙柳恵里展展の展示風景です。






髙柳恵里展は展示室に3点、小展示室に1点の展示で構成されています。
作品の詳細を御覧下さい。



展示室中央の作品です。
タイトル「DVD レコーダー」(DVDレコーダー、箱、梱包材)でサイズ37×77×75cmです。



展示室左壁面方向の作品です。
「再注文クラフトロール紙」(クラフトロール紙、箱、梱包材)で26×131×39cmです。



展示室右壁面の作品です。
「初回クラフトロール紙」(インクジェットプリント)で29.7×21cmです。



小展示室の作品です。
「Interior design」(鏡、照明)で47.8×47.8cm, 4.9×60×2cmです。

「衝突」

買う。箱を開ける。
以上である。
買うことの理由が、何かに衝突する。                                                                             2017.5 髙柳恵里


今も続いているのか不明ですが、開封の儀というものがあります。
始まりはiPod、iPhoneなどを発売直後(稀に発売以前)に入手したユーザーが、包装を開封して商品が現れるまでをビデオでドキュメントしたものです。
緻密にデザインされたパッケージを開ける楽しみ、お目当てのガジェットにようやく触れる歓び。
その様子がナレーションと共にネット上にアップされ、それは開封の儀と呼ばれました。

もしくは、あるタレントの実話で、ネット通販で購入した商品が届いた場合。
それは最短の納品で手に入れたものですが、何故か直ぐ開封せず一晩寝かせます。
翌日、体調を整え(?)カッターでダンボールの封に刃を入れます。
これも開封の儀で、開けた時の歓びを倍加させる仕組だそうです。

そのように、商品を買うという行為のクライマックスは開封にあります。
開封後に使用もせず、放ったらかしにする人がいるのは、買物の本質を表しているのかもしれません。
展示された「DVD レコーダー」の解題がそれで済むかと言えば、それもちょっと違います。
なぜなら、ダンボールの中のDVDレコーダーが古びていて、デッドストックのような状態だからです。
新品なら話は解るのですが、未使用とは言えこの微妙な古さは何とも・・・・。

中途半端な状態。
それは展示作品の4点に共通する事態です。
だからスッキリしない。
何か意識が宙吊りにされたような気分で、ついつい会場で販売されている作品集『髙柳恵里|Eri Takayanagi』を買ってしまう。
(定価3000円+税)

この美麗な本を眺めていると、日常が揺らいでいくような気分に陥ります。
どれもこれもどこかがズレていて、固定観念に揺さぶりをかけられます。
それは一言で言えば困惑なのですが、一種の快楽です。
つまり困惑がクセになる。
もう免疫がついたかなと思えば、今回も又困惑・・・・。

世界はどのように成り立っているのか。
画廊に展示された作品に困惑しながら、つい考えてしまいます。
自明の理が、あたり前の日常が、怪しくなります。
しかし、それこそが美術の本意に違いありません。

困惑にかかわらず、髙柳恵里さんの作品に心を感じます。
作品の一つ一つに、ハートが、心がこもっています。
その迷いのない、キッパリとした表現には感動さえ覚えます。
見ることと考えることが一体となった体験は髙柳恵里さんならではのものです。
画廊で、貴方も困惑することをお薦めします。

ご高覧よろしくお願い致します。




プライスリスト

2004年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2011年藍画廊個展


会期

2017年5月8日(月)ー20日(土)
14日(日)休廊
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


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