藍 画 廊


金井聰和展
-はだかのいえのほねのにわ-
KANAI Toshikazu


金井聰和展の展示風景です。




上は画廊入口から見た展示風景、下は正面壁面方向(画廊奥側)から見たものです。
画廊中央にあるのはタイトル「はだかのいえ」(陶、木、写真 2000×1680×1680mm)で、文字通り家の形をしています。
正面壁面側からは内部に入る小さな口があって、中には裸体の写真が貼付してあります。
その入口の手前には、入り口を示すかのような小さな陶の靴が置かれています。



「はだかのいえ」の周りには手と足の形をした4つのオブジェ(陶、植物)が設置されています。



「はだかのいえ」は外部と内部が逆転したような構造になっていて、家の外周には数多くの陶の小品がディスプレイされています。
ランダムに撮影した画像をご覧下さい。



<作家コメント>

今回の展示は、ヒトと家、ヒトと庭の関係を、陶、木、写真などを素材を用いて、神話の世界と重ね合わせるという試みです。
タイトルは「はだかの いえの ほねの にわ」としました。

画廊の中央に設えた家。
その外(庭)には切断された手、足。
何やら、事件の匂いがします。

この事件の被害者は家の住民ではなく、どうやら神様(!)のようです。
「どうして神様が」と驚き、家の所有者(作者)に話を聞いてみました。
所有者はこの家を建造する時、参考にしたのは神話だそうです。
日本の神話や世界の神話、手当たり次第に読み漁り、そこに不思議な共通項を見出しました。
神様が死に(殺され)、バラバラになった身体や内蔵から植物などが生まれ育つという神話の数々です。
創世記にまつわる死と再生の物語ですが、洋の東西を問わず、そんな話が多い。

この家の裏側には小さな入口があって、中に入れます。
身体を丸めて、中に入ってみると、暗がりに徐々に目が慣れてきます。
壁や天井の所々には裸体の写真が貼ってあります。
何やら艶めかしい。

手や足が転がっていて、臓器のようなオブジェが家の外周に飾ってあって、内部に裸体が・・・。
ヘンな家ですが、よ〜く考えてみると真っ当のような気もします。
その昔の家は、家の中に神様やご先祖がいて、子供も家の中で生まれ、老人は家の中で死んでいく。
家の中や庭に生と死があって、それが家を中心に循環している。
かつて家はヒト(個)の容器であり、ヒト(種)の容器でもあったのですから。

画廊から離れて郊外のバイパスに行くと、タマホームの展示場があります。
如何にもの安普請で、低価格住宅であることが外観に表れています。
そのタマホームのCM、家の機能や設備に一切触れず、イメージだけの代物です。
イメージには意味がなく、ただただ名前の連呼だけ。
情けないというか何というか、家を何だと思っているのでしょうか。

そんなCMに怒ったわけではないでしょうが、所有者はこんな家を建ててみました。
これは違った意味で、事件です。
今の時代の住宅が隠蔽した、家や庭の本質や底に流れる機能を露わに表現しています。
住みやすさとか家族のコミュニケーションではなく、ヒトの生(性)と死の器としての家です。
あるいは、風土としての家です。
宜しかったらお出で下さい、(住宅展示場と同じで)見学は無料です。

ご高覧よろしくお願いします。

プライスリスト

2004年藍画廊個展
2013年藍画廊個展

2015年藍画廊個展

会期

2016年9月19日(月)ー24日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内