藍 画 廊



たまびやき
多摩美術大学 工芸学科/陶/選抜作品
城川三奈 高橋瑠璃 中林由香梨 湯口萌香
SHIROKAWA Mina/TAKAHASHI Ruri/NAKABAYASHI Yukari/YUGUCHI Moeka


「たまびやき」多摩美術大学工芸学科 /陶/選抜作品の展示風景です。



画廊入口から見た展示風景です。
左から時計回りに、城川三奈さんの「海の剥製」(陶)で、作品サイズ90(H)×45(W)×45(D)cmです。
壁面の作品は入口横壁面の作品と組作品になっていますので、後ほど紹介します。
正面にあるのは中林由香梨さんの「ひらめき」(陶)で、65×60×75です。
右壁面の前にあるのは湯口萌香さんの「輾 転 反 側」(磁)で20×22×30、「曖昧模糊模糊」(磁)で20×22×30です。



入口横の壁面です。
前述した組作品で、高橋瑠璃さんの「回り 淀み 巡る 夢(3点組)」(陶)で、25×35×4です。
以上の5点で「たまびやき」は構成されています。
本展は多摩美術大学工芸学科陶の4年生による選抜展です。



城川三奈さんの「海の剥製」です。
剥製は通常鳥獣を使用して制作するものですが、海を剥製にするという発想が面白いですね。
その大胆な発想に相応しい、陶の特色を生かした美しい造形になっています。



これは作品の上部で、水面にあたる部分です。
キラキラと水面が輝いている有様が表現されています。
さて、この海の剥製、ほぼ直方体ですが、どこか崩れていますね。
これは沖ノ鳥島の(領有権を示す)建造物の劣化にヒントを得たもので、自然に対する人知の愚かしさを表しています。



中林由香梨さんの「ひらめき」です。
これも大胆な発想の作品ですが、説明の用はないですね。
見ての通り、「ひらめき」の瞬間がそのまま表現されています。
しかしこれは大きなひらめきでしょうね。
ノーベル賞ものかもしれません。
金属の台座とのプロポーション(マッチング)も良いですね。



「ひらめき」の本体です。
カボチャのようにもバナナのようにも見えますが、「ひらめき」と言われれば、断然ひらめきに見えます。
ドーンとひらめいたひらめきそのものを、そのまま作品にしたのでしょうか。



湯口萌香さんの「輾 転 反 側」と「曖昧模糊模糊」です。
輾転反側とは悩みから何度も寝返りを打って眠れない様を意味します。
サイコロを重ねたような形体を持つ作品ですが、どこか要領を得ないというか、何となく気色の悪さを感じさせます。
それもそのはずで、毛虫や芋虫、ナメクジなどを見た時の、そこなかとない気持ち悪さをモチーフにしているそうです。
しかし面白い作品ですね。
美術のある種の面白さを体現した作品です。



「輾 転 反 側」の部分です。
真ん中辺りに黒点がない部分があるのがお分かりでしょうか。
その部分は反対側まで貫通していて、覗くと向こう側が見えます。
遊びを感じさせる楽しい仕掛け。





高橋瑠璃さんの「回り 淀み 巡る 夢(3点組)」です。
高橋さんは眠りが浅く、入眠時に幻覚を見るそうです。
一般的に入眠時幻覚と呼ばれる現象で、それを具現化したのが今回の作品です。

高橋さんによれば、怖い幻覚で、それはこの作品を見ていると何となく分かりますね。
わたし個人の体験では、体調の悪い時に見る夢がこんな感じです。
しかし丁寧に作られた作品です。
形、色合いともに細部まで手が込んでいます。
人間の深層心理ともいえる領域に足を踏み込んだ、完成度の高い作品。


四者四様、楽しい多摩美術大学工芸学科 /陶/選抜作品です。
陶というマテリアルの範囲で、自由な発想、表現が見られます。
この多様性と、陶というマテリアルの特色を交差させたのが、この展覧会の見所です。

ご高覧よろしくお願い致します。

2009年「たまびやき」藍画廊
2010年「たまびやき」藍画廊


会期

2011年9月12日(月)ー9月17日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内