藍 画 廊



高馬浩展
KOMA Hiroshi


高馬浩展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左の壁面です。
左から、作品タイトル「5月」で、サイズは910(W)×652(H)(P30)、「PM4:00」で1000×1000(S40)です。



正面の壁面です。
「海辺」で910×652(P30)です。



右側の壁面です。
左から「広野」で1940×1120(P120)、「曇天」で910×652(P30)です。



入口横の壁面です。
「ユーカリ」で1000×1000(S40)です。

以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に2点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品はすべてキャンバスに油彩です。



左壁面の「5月」です。
ただ単に絵を見ていれば、単色の平面に見えます。
しばらく眺めていると、そこに何かが見えてきます。
それはどの作品にも共通して言えることです。



同じく左壁面の「PM4:00」です。
高馬さんの作品は、この作品に限らず、色彩が独特の美しさを持っています。
中間色ですが、何ともいえず、目に優しい色合いです。
画廊の白い壁に、その矩形や正方形が、自然に収まっています。



正面壁面の「海辺」です。



右壁面の「広野」です。
今回は、前回以上にモチーフを写し取ることに専念したそうです。
例えばこの「広野」は布団を描いているそうです。
ただし、布団を写し取ることが目的ではありません。
丹念に写し取っていても、それはあくまでもきっかけであり、目指すところは別にあります。



入口横壁面の「ユーカリ」です。
これは実際にユーカリをモチーフに描いたもので、角度を変えて見ると、ユーカリの姿が現れます。



最初に高馬さんの絵画と立体を拝見したのは2000年です。
今のような絵画のスタイルになったのは2006年ぐらいからでしょうか。
それまでは絵画の色味に変化があって、単色に見えるような絵画ではありませんでした。
もっと遡れば、具象のように見える絵画を描いていました。

少しずつの変化ですが、絵画は確実に深度を増しています。
単色のように見える絵の前に立つ。
五分間、いや三分間でも良いのですが、絵を眺めていると、何かが見えてきます。
その何かは、絵の具という物質で描かれた、一つの模様(物事のありさまや様子)、状態です。
その見え方が、何ともいえず、微妙です。
描くという行為の、絵画という方法の、類のない在り方が示されているからです。

画廊の白い展示室に、窓のように展示された6点の四角い色面。
洗練されているようで、安易な洗練(モダーン)を拒んでいる、空間の空気。
一点一点は独立していながら、全体には統一感が存在する。

そこから一点の作品と対峙していくと、絵画の愉悦が見えてきます。
微かな、微かな筆致や色の変化。
襞(ひだ)のような、雲のような、朧げな形。
形状のミニマムさを裏切るような、密やかで豊かな世界が姿を現してきます。
このとき、わたしたちは絵画という方法の多彩さと可能性に、改めて気付かされます。

高馬さんの2000年も絵画と立体は、動的でありながら平衡している(運動していながら、しかも調和の取れた)状態を表現していました。
その指向は今でも変わっていないと思います。
思考の深度と技量を増しながら、表現はさらに深みを目指しています。
その成果が今、わたしたちを絵画の深い場所に誘っています。

ご高覧よろしくお願い致します。


2000年藍画廊個展
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
「美」と「術」2003



会期

2010年7月12日(月)-7月24日(土)

日曜休廊

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内