村井一貴展
MURAI Kazutaka
村井一貴展の展示風景です。
各壁面ごとの展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側と正面の壁面です。
壁面左から、作品タイトル『 物 体 e – 5 』(木・鉄・ポリパテ・ウレタン塗料)で、作品サイズ45(H)×52(W)×42(D)cm、
『 Parallel World – 9 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、 72.8×60.6、
『 Parallel World – 6 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、 33.4×33.4、
台座の上の立体は『 物 体 e – 3 』(木・鉄・ポリパテ・ウレタン塗料)で、15×18×16、
床置きの立体は『 物 体 e – 7 』(FRP・鉄・エポキシ樹脂・ポリパテ・ウレタン塗料)で、80×170×80です。
正面と右側の壁面です。
正面台座の右側の立体は『 物 体 e – 4 』(木・鉄・ポリパテ・ウレタン塗料)で、21×30×21、
右側壁面左から、『 物 体 e – 2 』(木・鉄・ポリパテ・ウレタン塗料)で、20×20×18、
『 Parallel World – 5 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、33.3×24.3、
『 Parallel World – 7 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、45.5×38です。
入口横の壁面です。
左から、『 Parallel World – 4 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、22.8×22.8、
『 Parallel World – 3 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、18×14、
『 Parallel World – 8 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、53×53、
『 Parallel World – 1 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、18×14、
『 Parallel World – 2 』(木製パネル・ウレタン塗料)で、18×14、
床置きの立体は『 物 体 e – 6 』(木・鉄・ポリパテ・ウレタン塗料)で、59×80×83です。
村井一貴展は以上の立体六点、平面九点で構成されています。
床置きされた立体は二点ですが、奥側に展示された『 物 体 e – 7 』です。
作品の中心にある立体の各先端から鉄の線が伸び、それが楕円を描いて、又立体に戻っています。
作品の基本構造は単純ですが、それが自然に(滑らかに)何回も繰り返されていて、美しいフォルムを実現しています。
見る角度によって様々な表情を見せるので、ベストアングルは決まっていません。
見る人が自分の目で決める作品です。
左壁面の 『 Parallel World – 9 』です。
本展は立体と平面の混在で、立体は『物体〜』、平面は『 Parallel World 〜 』のシリーズタイトルになっています。
作品の表面は光沢のある鏡面で、ウレタン塗料を使用しています。
ウレタン塗料は自動車の板金塗装に使う塗料で、それを吹き付けで木製パネルに描画しています。
(光沢があるので、撮影画像には、他の作品ー黒い平面や鉄棒の円弧などーが映り込んでいます。)
星雲を描いたような画面ですが、特にモチーフはないそうです。
左は左壁面に展示された『 物 体 e – 5 』で、右は正面壁面の右台座の『 物 体 e – 4 』です。
立体は中心部が木製で、ウレタン塗料で塗装(描画)されていています。
この部分を平面に移したのが、『 Parallel World 〜 』シリーズと言えます。
木製部分の先端と鉄棒を繋ぐのがポリパテで、このジョイント部分が滑らかな動きを支える要です。
右壁面の『 Parallel World – 5 』です。
パネルに最初に塗られるのはシルバーで、そこから描画が始まります。
色を重ねて、最後に黒を何回も何回も吹きつけます。
そうすると、周囲が漆黒で、中心が膨張したような絵が完成します。
メタリックな感触は、下層にシルバーを用いている効果だと思います。
床置きのもう一点、手前側の『 物 体 e – 6 』です。
紫の中心部から、流れるように線が円弧を描いていますね。
ハンドメイドとは思えないような、滑らかな造形です。
流線型の未来と原初の創造が、メビウスの輪のように結びついたカタチです。
画廊で作品を撮影していると、立体の場合、どのアングルで撮影したらよいか迷う時があります。
村井さんの作品は、前述したようにベストアングルが決まっていません。
作品の周りでカメラを構えてファインダーで覗くと、どのアングルもフォルムに表情があって、迷います。
でもそれは、楽しい迷いです。
実際に見る以上に、フォルムの多彩さ、美しさが実感され、撮影の腕が上がったような錯覚を覚えます。
村井さんの作品は、以前に比べれば、造形がシンプルになっています。
一つの構造体として、ミニマルなカタチになっています。
しかしフォルムの美しさと表情の豊かさは増しています。
ファインダーで覗いていると、ウットリするようなカタチが映ります。
わたしたちは物事の前提となる事柄には、どういうわけか疑問を抱きません。
例えば、自然界に存在しない直線はどのようにして生まれてきたのか。
直線の存在は数学の前提なので、それを疑うことをしません。
それと同じように、モノのカタチの始まりを問うこともしません。
カタチは既に在ったものとして、つまり前提として、考えの外に置くからです。
カタチはどのように生まれてきたのか。
そこをスタートラインにして、カタチの不思議さ、美しさ、多様さを表現しているのが、村井さんの立体です。
作品を拝見して、わたしはそう思いました。
科学の先端のような流線型は、よく見れば、プリミティヴなカタチの成り立ちです。
シンプルな循環や繰り返しは、複雑で多様な現れを生んでいます。
(それはもちろん、技術的な裏付けがあるからですが。)
今回から出品された平面。
この作品には、色の始まりが問われています。
色とは何か、色はどのように生まれてくるのか。
当然そこには光の問題が潜んでいて、作品にも表れています。
ですから、絵が星雲や銀河系のように見えるのは、あながち間違いではありません。
ご高覧よろしくお願いいたします。
会期
2009年6月22日(月)-6月27日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
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