藍 画 廊



村井一貴展
MURAI Kazutaka


村井一貴展の展示風景です。



画廊の道路側入口から見た展示風景です。
画廊の空中に立体作品が浮いています。
作品はピンと張られたワイヤーによって支えられていて、作品同士がワイヤーで結ばれたものもあります。

画廊内の展示作品は七点で、上の画像に写っていない作品も二点あります。
作品は、画廊入口から左回りに、
作品タイトル「物体 c-3」で、サイズは28(H)×23(W)×23(D)cm、
「物体 d-6」で、20×20×20cm、
「物体 d-1」で、25×25×23cm、
「物体 d-3」で、25×25×23cm、
「物体 d-5」で、65×50×40cm、
「物体 d-4」で、34×28×20cm、
「物体 d-2」で、25×25×21cm、
「物体 c-3」で、28×23×23cmです。
その他、道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品はすべてポリエステル樹脂と鉄を使用しています。



画廊の中央に浮く「物体d-5」です。
展示作品中、最も大きな作品です。
作品の上方の左右と下方の左右が、ワイヤーで張られ、支えられているのが分かります。
中心部分がポリエステル樹脂で、鉄の線(棒)がそれを囲むように形作られています。
作品を一点づつ、四点ご覧いただきます。



一番下の作品(「物体c-3」)のみ、ワイヤーではなくフックで壁に展示されています。
本展のプロトタイプ(原形)といえる作品で、構想はこの作品を基にしています。

裸電球を破損防止の太い針金で囲ったものを想起させますが、半透明のポリエステル樹脂と鉄のコントラストが美しい作品です。
ポリエステル樹脂は、一般的なプラスティック製品に使われる素材ですが、作品の質感はガラスに近い感じです。
樹脂は二重の構造になっていて、それが色の濃淡となって表されています。

ワイヤーによって空中に浮いた作品群は、キューブ(画廊空間)の中の原子のようです。
科学少年の心を誘うような展示で、支持体としてのワイヤーも視界の邪魔にならず、むしろ効果的です。


万物のカタチは、一体どのようにして生まれてくるのか。
村井さんの作品を見た、第一印象です。
作品の中心部分にあるポリエステル樹脂のカタチが、あたかもカタチの生まれる瞬間を表しているように見えたからです。
周りの鉄の部分は、エネルギーの動きのようで、カタチの生成と変化に深く関わっている。
そのように、見えました。
(画廊で、あるいはこのページの画像で作品をジックリとご覧下さい。)

しかし、この作品はモデル(事象の模倣、単純化)ではありません。
村井さんの手によってカタチが生まれる瞬間でもあるのです。
その二重性が、この作品の価値であり、面白さです。

作品は生命体の根源のカタチを想像させ、宇宙のカタチにも似ています。
その相似は、部分の総和が全体であることを否定し、部分こそが全体であり、全体が部分であることを表現しています。
カタチとは、そのような<複雑>な関係から生まれてくるのかもしれません。

宙に浮いた作品は、適度な重さと軽さを感じさせます。
これも村井さんの作品の特質で、物質の存在感よりも成形を重んじた素材選択をしています。
それが結果として、カタチの不思議さを生んでいます。

カタチとは何か。
到底答えは出ませんが、村井さんの作品に囲まれていると、カタチの不可思議に思いが馳せられます。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2006年藍画廊個展


会期

2007年2月26日(月)-3月3日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内