藍 画 廊



土居隆範展
・・・表面の位置について・・・
DOI Takanori



土居隆範展の展示風景です。



各壁面の展示をごらんいただきます。
画廊入口から見て、左側と正面の壁面です。



左から、作品タイトル「Position of S 0905-2」で、作品サイズ23.6(H)×31.4(W)cm、「Position of S 0905-1」で作品サイズ31.4×47.5、「Position of S 0905-4」で作品サイズ23.5×31.8、「Position of S 0905-3」で作品サイズ30.7×48.0、「Position of S 0905-5」で作品サイズ31.3×47.5、「Position of S 0905-6」で作品サイズ47.6×42.1、「Position of S 0905-7」で作品サイズ34.6×31.4、「Position of S 0901-1」で作品サイズ40.9×30.9、「Position of S 0901-2」で作品サイズ47.5×42.0です。



正面壁面の続きと右側の壁面です。
左から、「Position of S 0902-2」で作品サイズ31.1×47.6、「Position of S 0902-1」で作品サイズ47.0×62.2、「Position of S 0902-3」で作品サイズ47.7×62.8、「Position of S 0903-3」で作品サイズ30.7×47.4、「Position of S 0903-1」で作品サイズ47.3×63.4、「Position of S 0903-2」で作品サイズ30.7×47.4、「Position of S 0904-3」で作品サイズ47.1×62.0、「Position of S 0904-1」で作品サイズ30.7×48.0、「Position of S 0904-2」で作品サイズ31.0×47.8、「Position of S 0904-4」で作品サイズ23.9×31.5です。



入口横の壁面です。
左から、「Position of S 0907-2」で作品サイズ31.0×48.0、「Position of S 0907-1」で作品サイズ31.3×47.5、「Position of S 0906-2」で作品サイズ31.0×48.0、「Position of S 0906-1」で作品サイズ30.8×47.7です。

以上の23点が土居隆範展の展示です。
作品はすべてデジタルフォト、紙、アクリル、水彩を使用しています。



作品はシリーズ(連作)ごとに、2点〜4点のグループで展示されています。
上は左壁面の左側のグループの1点です。
和紙の中央に写真(デジタルフォト)が貼付されていています。
写真は、川に架かる橋と、橋にぶら下がっている猿です。
しかしこの画像は合成のようです。



同じ左壁面の右側のグループ1点です。
同じイメージを使用していますが、色彩と構図が異なっています。
土居さんに訊ねたところ、動物と風景の合成は、奥行きを強調する為で、特に動物に意味はないそうです。



正面壁面の右側のグループの1点です。
東京湾(お台場の周辺)の風景ですが、この写真に限り合成ではなく、船から撮影した実景です。

ここで簡単に作品の成り立ちを説明いたします。
和紙にデジタルプリントされた画像を貼り付けます。
一方で等間隔に糸が張られたパネルを用意します。
和紙を水張りするような要領で、パネルに押し付けます。
そうすると、糸の形が和紙に型押しされます。
画面にうっすら見える横縞がそれです。
それから中央の画像を囲むように水彩で描画します。
最後に縦状にマスキングしてペイントすると、型押しされた糸の形が浮き出て、擦れた帯のようなものが出現します。



右壁面の左側グループの1点です。
多摩川の橋の景色です。
光線の具合と、水面に映る橋の描写が美しい1枚です。
パース(遠近)が強調されたアングルですが、橋桁に大きな落書き(グラフィティ)があります。
この場所に落書きするのは難しいので、もしかしたらレタッチで・・・・・。



入口横壁面の左側のグループの1点です。
これも海景で、手前はカラスでしょうか。
遠くの橋との関係が、屏風に描かれる風景に似ています。


土居さんが一貫して表現しているテーマは、絵画(画像)に於ける実と虚です。
視覚のメカニズムが生みだす、虚の奥行きです。
その為に、水辺の景色を選んで取り入れています。
水面は手前と奥との関係が把握しやすく、遠近感に狂いが生じ難いからです。

ご案内した作品は、どれも遠近の分かり易い画面です。
近景の動物との対比もあって、眼は自然と遠くの景色に遊びます。
しかし画面の擦れた帯の強い色が、唐突に、眼を紙の表面に引き戻します。
その時、画面の奥と表面の間の、虚の空間が意識に上ります。
しかも、景色は写真と筆の描画が連続していて、眼はさらに混乱します。
なぜならその二つの遠近(法)も異なっているからです。

結局、わたしたちはこのような視覚のメカニズムを利用して(利用させられて)、現実を認識しています。
その行為は無意識ですが、それをあえて土居さんは意識化しています。
なぜなら、認識がどのような過程を経て為されるのかを問題にしているからです。

デビット・ホックニーに、ポラロイドを使用した作品シリーズがあります。
有名なのは、京都の竜安寺の石庭を部分的にポラロイドで撮影して、繋げた作品です。
わたしは土居さんの作品を見ていて、それを思い出しました。
視覚の認識をテーマにしている点で、共通の感触を得たからです。

ご高覧よろしくお願いいたします。


2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展

2003年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展



会期

2009年5月18日(月)-5月23日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内