藍 画 廊



当間裕子展
TOHMA Yuko


当間裕子展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品サイズ30(H)×30(W)cm、45×45cm、45×30cm、30×30cm、45×60cmです。



入口横右の壁面です。
左から、30×30cm、60×80cmです。



左の壁面です。
左から、30×45cm、45×60cm、30×30cmです。

以上の十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに二点の展示があります。
作品はすべて、綿布に油彩です。



左壁面中央の作品です。
繭のような形が多数描かれていますが、具体的な何か、ではないようです。
かといって抽象画でもありません。
背後から光を透したような描写が、ある状態を生成しています。



左壁面右の作品と正面壁面左端の作品です。
どちらも正方形で、風景を描いているように見えます。
左が海で、右は空に見えますが、確かではありません、
当間さんの他の作品と同じように不明瞭です。
なぜ不明瞭なのかと考えれば、視点が、風景の内側に入っているからではないでしょうか。
もしくは、風景と一体化しているからではないかと思います。



正面壁面の二点です、
左の作品は、最初のご紹介した左壁面の作品に似ていますね。
右は華やかで、かつ清涼感のある、色彩の秀でた作品です。



右壁面の作品です。
モノクロームに近い作品ですが、豊かな世界が見えて、個人的には最も好きな作品です。



最後は入口横右壁面の作品です。
これは例外的に、具体的な風景が思い浮かぶ作品です。
水溜りや池に雨が落ちて、波紋が幾つも出来ている様子でしょうか。
描写は紋様に近くなっていますが、雨のリズムはしっかりと画面に残されています。



当間さんの作品には、やはり水を感じます。
本人と問うと、必ずしも水を描いているわけではないようですが、多様な水を感じてしまいます。
水には決まった形や色がありません。
海であれ、雨であれ、わたしたちは五感で、状態として水を感じます。
その状態と共に在るのが、当間さんの作品のように思います。

当間さんの作品は不明瞭です。
なぜなら、何かを見ようとしている絵画でないからです。
状態と共に在る、絵画だからです。
状態は概ね不明瞭であり、そこに身を委ねることでしか、状態を感じる(知覚する)ことは出来ません。

状態に身を委ねるとは、受身ということではなく、状態と同一化することです。
つまり、ある意味で、自我なり主体なりとお別れすることです。
「であらねばならない」とお別れして、「であってもいい」とお友達になることです。
そうすると、状態にスッと入っていくことが出来ると思います。
(もちろん、それは言うは易し行うは難しの典型ですが。)

幾分抽象的な物言いになりましたが、要は、当間さんの作品には余計なものがないということです。
自我だの主体だのと決別した、「そのまま」があるのです。
「そのまま」の気持ち良さ、優美さ、風通しの良さが、作品に在るのです。
だからわたしたちも、見るというより、眼を遊ばせた方が正解なのだと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。

2002年藍画廊個展
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2005年藍画廊個展
「世界」2006年展
「美」と「術」2002(1)
「美」と「術」2002(2)

 


会期

2008年10月27日(月)-11月1日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内