銀座、京橋地区の10の現代美術画廊による「新世代への視点」2003のテーマは「THE TEN ELEMENTS」です。
ELEMENTSを日本語に訳すと、要素、構成、成分といった意味になります。
10の要素、構成、成分は、言い換えれば各々の作家の個性、主張になり、そこから共通した現代が見いだせるのではないでしょうか。
今回で7回目になる「新世代への視点」ですが、藍画廊は亀山尚子さんの展示です。
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画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左から、 91×65.2cm(P30). 53×45.5cm(F10). 22×27.3cm(F3). 45.5×45.5cm(S8). 80.3×80.3cm(S25) です。 |
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右側と入口横右の壁面です。 右の作品は、 45.5×38cm(F8)です。 |
左側の壁面です。 左から 91×72.7cm(F30). 80.3×80.3cm(S25). 33.3×19cm(M4)です。 この他、道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに二点展示されています。 作品はすべて、綿布にアクリル絵具を使用しています。 |
今年の梅雨はなかなか明けません。
展示風景を撮影した日も梅雨空でしたが、画廊の中は別の世界のようでした。
エアコンが効いていた、という話ではもちろんありません。
亀山さんの作品と展示が、画廊空間を別の世界に変えていたのです。
清涼で、心を鎮めるような世界。
使い古された形容かもしれませんが、そういう世界です。
例えば、世界中で一番気持ちの良い風に頬を撫でられる。
その心地よさを想像して見て下さい。
身体の心地よさが心に伝染してくる様を、想像して見て下さい。
個人的には一番印象的な正面と右側壁面の展示。
作品の持ち味と展示が上手くかみ合わされた、見事な構成です。
サイズ、明度、彩度、色相、密度のバランスが絶妙で、しかも計算を感じさせない。
他の壁面との関係もナチュラル。
亀山さんの作品はどちらかといえばくすんだ色調ですが、鮮やかに見えるから不思議です。
左の壁面です。
ちょっと変わった角度からの撮影してみました。
この二点は、作品の展示の高さにかなりの差があります。
左の部分的に写っている青緑の作品、実に美しい色合です。
全般に前回の個展よりも色調も、世界も明るくなっています。
道路側ウィンドウの作品(45.5×45.5cm・S8)です。
本展で特徴的な色といえば、上の作品のような赤です。
全般に控えめな色使いの中で、赤系の作品が展示空間の要になっています。
描かれているのは植物でしょうか。
恐らくモチーフとして植物は使われたかもしれませんが、植物を描いた絵ではないようです。
制作中キャンバス、残るものと、なくなるものがある。
決定するものが私の中にはあるが、なぜそうでなければいけないのかと尋ねられたら、うまく答えられない。でも私の絵の中では、大切な部分でもある。
亀山尚子 「新世代への視点」2003カタログ収録作家自身のテキストより
亀山さんの言葉を借りれば、描かれているのは、残った、大切なものです。
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正面と左側壁面の間にある小品。 ポツンと中間の高さに置かれていますが、存在感のある作品です。 心地よい、気持ち良い、普段何気なく使う言葉ですが、これは本当は内面の状態を表す言葉ではないでしょうか。 心や気が、その安定する場所にあって、しかも世界と繋がっている状態。 そんな状態かもしれません。 亀山さんの作品が気持ち良いのは、その所為だと思います。 |
御高覧よろしくお願いいたします。
「新世代への視点」2002
「新世代への視点」2003 情報
亀山尚子前回個展
会期
2003年7月28日(月)-8月9日(土)
日曜休廊
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内
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