わたしが写真と撮ることに興味を覚えたのは、杉並の善福寺公園です。
住宅街から坂を下りて、小さい方の池の入口に行くと、風景が一変します。
蓮池と後方の樹木の景観が、完成された絵画のようなプロポーションで、眼が一気に奪われます。
初めて、写真を撮ってみたいという気持ちになりました。
公園内は変化に富んでいて、その後も撮影意欲が持続しました。
いわば、善福寺公園はわたしの写真の先生でした。
東京の住所を、その杉並区から中央区に移して数ヶ月。
やっと住いも落ち着いてきました。
善福寺公園に代わる先生が見つかるかどうか分りませんが、近所をあたってみることにしました。
今日は朝から天気も良いので、起きてすぐに散策に出掛けました。
まずは住居の近くの佃大橋を渡って、佃島方面を目指してみました。
佃大橋の向こう側に見えるのは、大川端リバーシティ21という超高層マンション群です。
超高層は8棟あって、石川島播磨重工業跡地の再開発事業として建てられました。
佃大橋を渡って左側が佃島です。
道路にあった案内地図を見ると、佃島のさらに左が石川島、そして佃島の右が月島となっています。
大川端リバーシティ21は、橋の左側ですから、佃島と石川島にまたがっていることになります。
しかし橋を渡ってすぐの地域は、超高層マンションとは対照的な下町の雰囲気です。
佃といえば佃煮が有名ですが、その漁業が盛んだった頃の面影を残した町並みです。
町の中程にある運河に停泊している船。
おそらく釣り船と思われますが、こういう風景と、昭和の空気を強く残す佃の町が重なると、時間は過去に戻ってしまいます。
木造の古い平屋や二階建の住宅、酒屋や理容店などの小さな商店が軒を並べる通り。
運河の隣りには由緒ありそうな住吉神社があって、一層町の歴史と性格を表しています。
隣りの超高層マンションとのコントラストが強烈で、否が応でも、20世紀と21世紀(リバーシティ21)の生活の違いを意識させられます。
このような時間差のある地域は特別だと思いますが、長らく住んだ杉並とは大きく異なります。
あの辺りの建物にはこれほどの高低差がなく、住宅がビッシリ詰まっています。
住宅の平野といった感じで、所々にある公園や校庭がわずかな隙間になっていました。
(その昔に、中央線で杉並区を見たアメリカ人が、ここはスラム街かと問うた話が残っています。)
隅田川の両岸は公園になっていて、遊歩道のように岸辺を歩くことができます。
ご覧のように、整備されすぎているのが残念です。
もう少し荒れた感じの方が、変化があって、歩いていて楽しいのですが。
しかし、水辺というものは良いものです。
善福寺のような池もそうですが、水があると、心に落ち着きや広がりができます。
縮こまっていた身体も、スッと開いて、無駄に入っていた肩の力が抜けていきます。
岸辺の公園から見た築地、勝どき橋方面です。
しかし隅田川は本当に大きい(広い)川ですね。
滝廉太郎の『花』の隅田川からの連想では、もう少し小さな(狭い)川だと思っていました。
「佃島界隈(2)」に続く