iGallery DC

井川淳子展
いつか私は
IKAWA Junko




井川淳子展の展示風景です。







上から、画廊入口から見て左側壁面と正面壁面、右側壁面の展示です。
井川淳子展は以上の11点の作品で構成されています。
作品はすべてゼラチン・シルバー・プリントです。
作品の詳細をご覧下さい。

 


画廊入口から見て、左壁面の作品です。
左からタイトル「いつか私は(天国篇4歌)」でサイズ27.9×35.6cm、
「いつか私は(天国篇9歌)」で27.9×35.6cm、
「いつか私は(天国篇10歌)」で27.9×35.6cmです。

 


正面壁面の作品です。
左から「いつか私は(天国篇14歌)で27.9×35.6cm、
「すべての昼は夜」40.6×50.8cmです。

 


正面壁面奥の作品です。
左から「渚にて」で12.5×18.0cm、
「渚にて」で12.5×18.0cmです。


右壁面の作品です。
左から「いつか私は(天国篇21歌)で27.9×35.6cm、
「いつか私は(天国篇29歌)で27.9×35.6cm、
「いつか私は(天国篇28歌)で27.9×35.6cm、
「いつか私は(天国篇2歌)で27.9×35.6cmです。


<作家コメント>

ここ何年かボッティチェッリが描いたダンテ『神曲』の素描画集をくりかえし開き、天国篇を撮影していました。
今回の展示は『いつか私は(天国篇)』8点を軸にした計10点程の構成です。

卓上に広げた頁に、かすかに届いた外の光が反射している。
黒い描線がにわかに白く輝きはじめ、紙の繊維が一斉にざわめいていく。
紙上の虚空は限りなく、紙の縁から先も果てしなく、手に触れた紙は重く軽い。


本展のメインになっているのは、ダンテ「神曲」を描いたボッティチェリの素描画集のページを撮影したものです。
出品作のうち8点が「神曲」天国編で、他の3点は波打ち際を撮影したものです。
写真はモノクローム・フィルムで撮影し、ゼラチンシルバープリントで仕上げています。

今、ダンテ「神曲」を知っている人は少ないと思います。
かく言うわたしも読んでいませんが、本展作品の鑑賞にはいささかも支障がありません。
作品を一瞥した時、書物のページであることは何となくわかりますが、何が描かれているかハッキリとは分かりません。
白地に白い刺繍で絵が描かれているように見えますが、斜め上から撮られているのと、ピントの合っている範囲が狭いので判然としません。
(実際は黒いインクで印刷されたものですが、光のあたる角度で、黒が反転して白になっています。)

井川さんに制作の動機を尋ねてみると、ボッティチェリのドローイングの線の美しさに惹かれ、画集を入手したのがきっかけだそうです。
作品画像に描写された線を良く見てみるとコンパスで描いたような曲線は、確かに美しい。
もともとが美大で絵画を学んだ井川さんの視点ですから、頷けます。
そこからスタートして、撮影、現像、焼付け、額装(自作)、展示のレイアウトまで、細部まで神経が行き届いた作品に仕上げています。

展示の全体を眺め、各作品をじっくり見ていくと、そこにある知性を感じます。
その知性を説明するのは難しいのですが、人間の生と死を巡る深い洞察、思考のようなものです。
今の世の中が閉塞感に満ちているのは、恐らくそういった知性が失われたからではないでしょうか。
漆黒の布の上に広げられた書物の1ページ。
緩やかにカーブする紙が映し出す光の陰影と白く反転した画家の手跡。
そこには物質(書物)のオーラが、画家のオーラが、光によって余すことなく現されています。
世界の片隅に追いやられた知性が、ここに、確かに存在しています。
知性とは光のことかもしれません。

ご高覧よろしくお願い致します。

(本ページの画像は井川淳子さんの提供です。)


作品リスト1
作品リスト2

2016年iGallery DC個展

作品を購入御希望の方は、恐れ入りますが、下記までメールにてご連絡をお願い致します。
折り返し送金方法、納品時期等をお知らせ致します。
(作品が配送の場合、勝手ながら送料はお客様のご負担とさせていただきます。)
なお、作品納入後一ヶ月以内の返品は受付させていただきます
fuku-mac@@kc4.so-net.ne.jp
(*お手数ですが@を一つ取ってから送信してください。)

井川淳子展 いつか私は 
会期:2023年11月23日(木)〜12月10日(日)
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜18:00


会場アクセスと展覧会スケジュール