新世代への視点2018
しばたみづき展 ーみることについてー
SHIBATA Mizuki
東京現代美術画廊会議(銀座、京橋地区の10の画廊を中心に発足)は、1993年より「-画廊からの発言- 新世代への視点」を主催してまいりました。
19回目の開催となる2018年展の藍画廊の展示は、しばたみづきさんの作品です。
展示風景です。
以上の1点のインスタレーションが展示室の展示で、その他小展示室に2点、事務室壁面に1点の展示があります。
インスタレーションのタイトルは「みることについて」でサイズ可変、粘土、水、(内部に木、麻)を使用しています。
作品の画像をご覧下さい。
〈作家コメント〉
私は行く先々の土や出会った物を使ってつぼなんかをつくっている。
空間を想像すること。自分の経験を観察することで実感につながること。
些細なことが実は繋がっていること。
作り続けるということを一緒に考えること。生活の佇まいを見つけること。
目に見えない関係というものの形として、機能することを願う。木と麻を芯にして水と粘土で作られた立体が林立する空間。
立体はつぼ(壺)をモチーフにして作られています。
このインスタレーションには二つの特徴があります。
一つは、作品が作者を代表とした複数の人の協働であること。
単に制作の手伝いではなく、しばたさんのアイデアを共に具現化する関係にあります。
この関係性そのものが、作品のコンセプトに含まれています。
二つ目は、作品は常に進行形で完成がないことです。
粘土の立体は乾燥と同時にひび割れが生じ、剥離も起こります。
粘土の色合いも変わります。
又、会期中に立体の数も増えていきます。
始まりも終わりも特定できない、常に変わっていく作品です。
つぼは容器です。
液体や穀粒を貯蔵するものですが、しばたさんが着目したのはその形状です。
胴が膨らみ、口と底がつぼまっています。
これは人間の身体の口と肛門に相当して、その単純な構造、フォルムの発見は制作のターニングポイントになりました。
言わば人間とはつぼのようなもので、それ以上でもなくそれ以下でもありません。
極論すれば、食べて出す生き物なのです。
又、つぼの何かを覆う、包むという機能は、死を格納する棺を連想させたそうです。
比較的小さなものありますが、多くは天井まで伸びる粘土のつぼ。
これは抽象的な形体であると同時に人間の象徴かもしれません。
つぼとつぼが重なって、延々と伸びていくようにも見えます。
その様相は生と死の連鎖であり、個を超えた類としての人間を表しているかのようです。
人間は一人では生きていけません。
共に働き、共に暮す、共生が宿命であり、又歓(よろこび)です。
古代から現代まで、科学技術が如何に進歩しようとも、人間はつぼです。
口が肛門と繋がった、シンプルな生き物です。
それでいて多様な表情があり、時と共にそれも変わっていきます。
このインスタレーションは、ソロ(独唱)ではなく、コーラスです。
多くの人の声が混じり合いながら、歌が続いてます。
それは展覧会が終わっても、又どこかで続いていきます。
ご高覧よろしくお願いたします。2018年7月23日(月)ー8月4日(土)
日曜休廊
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内