石村光枝展
ISHIMURA Mitsue
石村光枝展の展示風景です。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「あなたが居ない間にヤモリが来たのよ」でサイズ53.0(H)×65.2(W)(F15)cm、「このままずっといられたらいいのに」で24.2×41.0(M6)、「5月の海の中ウミウシが鳴いて」で22.0×33.3(P4)、「私は今日 けし色のカーディガンを着ました」で27.3×41.0(P6)です。
正面の壁面です。
左から「浴びる」で65.2×91.0(P30)、「綿毛はもう明日飛ばされてもいい」で65.2×91.0(P30)、「そっと
」で27.3×41.0(P6)です。
右側の壁面です。
左から「 m の椅子にすわりましょ」で40.0×62.0、「この椅子にすわって」で22.0×33.3(P4)、「そっと」で22.0×33.3(P4)です。
入口横の壁面です。
「雨粒は落ちる寸前までふくらみ続け」で22.0×33.3(P4)です。
以上の11点が展示室の展示で、その他小展示室に3点の展示があります。
作品はキャンバス・油彩・クレヨン・鉛筆を使用しています。
(「綿毛はもう明日飛ばされてもいい」のみ、キャンバス・油彩・クレヨン・鉛筆・サインペンです。)
左壁面の「あなたが居ない間にヤモリが来たのよ」です。
絵と文字と記号のようなものが入り混じった画面です。
部分のクローズアップをご覧下さい。
一見、子供が描いた様なイノセント(無邪気)な絵に見えますね。
しかしこの絵は、邪気をうまく排除しながら、大人の絵として完成させています。
左壁面の「5月の海の中ウミウシが鳴いて」です。
石村さんの作品にはユニークなタイトルが付けられていますが、これはタイトル通り海景に見えます。
中央にあるのは船でしょうか。
同じく左壁面の「私は今日 けし色のカーディガンを着ました」です。
石村さんの作品は大きく分けると、「あなたが居ない間にヤモリが来たのよ」のような文字や記号の羅列が入り混じった作品と、上のようなシンプルな作品の二種類になります。
けし色とはどんな色か分かりませんが、色彩が印象に残る作品。
正面壁面の「浴びる」です。
これも部分のクローズアップがありますので、ご覧下さい。
楽しいですね。
文字と記号の中間のようなモノが列をなしていて、物を単純化したような絵が散りばめられていて、イタズラ書きのような線もあります。
色のバランスも程よくアクセントになっています。
正面壁面の「綿毛はもう明日飛ばされてもいい」です。
画面上半分の植物らしきものの羅列が石村さんの絵の特色と言って良いと思います。
プリミティブで奔放な画風が全開になった作品。
同じく正面壁面の「そっと」です。
異色の作品ですが、何か気になる作品です。
ピンクの使い方が効果的です。
右壁面の「この椅子にすわって」です。
確かに椅子が描かれていますね。
座り心地はどうか分かりませんが、この空間で座ったら、気持ち良いでしょうね。
同じく右壁面の「そっと」です。
正面壁面にも同名の作品がありますが、これも異色な作品。
紺地に赤い丸(ドット)だけで構成された作品。
これを見ると、石村さんの技術が推し量れます。
キチンと大人の絵になっています。
石村さんは本展に寄せて以下のコメントを記しています。
小さな時間の集積でできた画面は私の足跡のようなものです。
日常は答えの出せない または答えなんて最初から無いことがいっぱいです。
画面よりそのような気配を感じていただけたらうれしいです。
楽しい絵です。
とても楽しい絵ですが、そのベースになっているのは日常です。
では日常が楽しいかと言えば、そうでもありませんね。
どちらかといえば、日常は無味乾燥な繰り返しが多い。
石村さんは、そんな日常に小さな、小さな足跡を残していきます。
その足跡は手の温もりが残った、足跡です。
そして、それが集積されて一枚の絵になっています。
それは無味乾燥な日常ではなくて、一見繰り返しのように見えて、変化に富んだ日常です。
画家に必要なのは、日常への深く鋭い視点と、それを表現する技術です。
石村さんの絵は、楽しい絵ですが、その両者を兼ね備えています。
日常という捕らえ所のないものへの、独自でユニークなアプローチ。
必要十分な技術力。
それが併さって、石村さんの絵は説得力を得ています。
羅列。
石村さんの絵の特色です。
羅列とは連ね並べることですが、その微妙な羅列の変化が、石村さんの絵の醍醐味です。
単調にならず、退屈にならない。
これは意外に難しいことです。
それを自然体でこなしているのが、本展の絵画の数々です。
ご高覧よろしくお願い致します。
2008年藍画廊個展会期
2012年3月12日(月)ー3月17日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)