松田麗香展
MATSUDA Reika
松田麗香展の展示風景です。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、作品タイトル「そこにある それもまた 52」でサイズ41.0(H) × 41.0 (W)cm( S6 )、「そこにある それもまた 54」で41.0 × 41.0 ( S6 )です。
正面の壁面です。
「そこにある それもまた 56」で162.0 × 162.0 ( S100 )です。
右側の壁面です。
左から、「そこにある それもまた 53」で41.0 × 41.0 ( S6 )、「そこにある それもまた 51」で45.5 ×33.3 ( P8 )です。
入口横の壁面です。
「そこにある それもまた 55」で15.8 × 22.7 (SM )です。
以上の6点で松田麗香展は構成されています。
作品はすべてパネル・雲肌麻紙・岩絵の具を使用しています。
左壁面の「そこにある それもまた 52」です。
松田さんの絵画の最大の特徴は、リングの連鎖だけで画面が作られていることです。
上の作品の部分のクローズアップをご覧下さい。
様々なリングの連鎖の積み重ねで絵が構成されているのがお分かりと思います。
「そこにある それもまた 52」の画面全体を占める大きな輪も、もちろんリングの一部なのです。
同じく左壁面の「そこにある それもまた 54」です。
何層にも重なった多様な大きさや色を持つリングが、最終的にこのような独自の絵画となります。
正面壁面の「そこにある それもまた 56」です。
この大きな正方形の作品が展示の中心になっていると思います。
部分のクローズアップです。
引いて(離れて)作品を見るのも良し、近づいて、気の遠くなるようなリングの連鎖の重なりを見るのも良いでしょう。
前回の藍画廊個展に比べると、ビビッドな色が後退し、全体に落ち着いた色調になっています。
展示点数も最小限に押さえられ、無駄のない、引き締まった展示になっています。
右壁面の「そこにある それもまた 53」です。
淡いオレンジ系統の色調の作品で、やわらかな雰囲気を醸し出しています。
同じく右壁面の「そこにある それもまた 51」です。
表面のリングが比較的均等で、斜めのラインで色調を変えた作品。
今回はある程度最終画面を想定しながらリングを重ねていったそうです。
松田さんの作品を見ていると、絵画という形式はつくづく奥が深いものだと感じます。
リング(輪)の連鎖。
その単純な繰り返しと雲肌麻紙と岩絵の具を使用して、これだけ多彩な表現ができる。
もちろんそれを達成するためには、大変な心身の労力と忍耐が必要不可欠ですが。
松田さんはなぜリングの連鎖で絵を描くことを思いついた(選んだ)のでしょうか。
そのヒントの一つはシリーズのタイトルにあります
「そこにある それもまた」。
これはすべてが繋がっていることを意味していると思います。
つまり、連鎖している。
その連鎖の中に、人の生がある。
連鎖は宇宙全体ですから、その中では、人の生はちっぽけなものです。
しかしそれでも、人の生はその連鎖の中に組み込まれている。
それを確かめるために、松田さんは絵を描いているではないかと、わたしは想像します。
今回の展示、前述したようにミニマルで無駄がありません。
しかし部分が全体になり、全体が部分であるような、統一感があります。
彩度や色調にも、ある種の落ち着きがあって、絵画の内実(中身)が際立っています。
何が描かれているかよりも、何を表現したいのかが、より優先されています。
もう一度画面に戻ります。
何層にも何層にも重ねられたリングの連鎖。
リングの色も大きさも様々で、万華鏡のような世界。
その世界の中に、一つの生がある。
膨大な連鎖に支えられたたった一つの小さな生。
しかしその連なりが、大きな生(宇宙)を形作っている。
松田さんの絵画の美しさには、そんな基調があるように思えます。
ご高覧よろしくお願い致します。2007年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
作家Webサイト
会期
2011年12月19日(月)ー12月24日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)