三本博子展
MITSUMOTO Hiroko
三本博子展の展示風景です。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「lazy afternoon 1」でサイズ72.7(H)×91.0(W)cm、「lazy afternoon 2」で91.0×116.7、「lazy afternoon 3」で91.0×116.7です。
正面の壁面です。
「焼けた砂浜に素足をしのばせる」で92.0×245.0です。
右側の壁面です。
左から「lazy afternoon 4」で80.3×113.0、「lazy afternoon 5」で80.3×113.0、縦に並べられた小品3点は「Touch me」で30.0×30.0の同サイズ、「lazy afternoon 6」で84.1×59.4です。
入口横の壁面です。
「まどろみ」で146.0×97.0です。
以上の11点が展示室の展示で、その他小展示室に6点の展示があります。
作品はパネルに麻布・シルバーポイント・カーボン・不透明水彩・テンペラ絵具・アクリル絵具を使用しています。
(小展示室の2点はリトグラフです。)
左壁面の「lazy afternoon 1」です。
lazy afternoonとは、だるい、気だるい午後とでも訳せるでしょうか。
午後の、空気が気持ちよく弛緩した感じが良く出ています。
絵画の技法は数多くありますが、三本さんのそれは独特です。
作品のクローズアップをご覧下さい。
遠目では気が付きませんが、細かな線がビッシリと描かれています。
この線はシルバーポイント(銀筆)とカーボン紙で描いた線です。
この線が着彩された画面と戯れるように描かれています。
「lazy afternoon 2」です。
線と着彩は何回も重ねられていて、複雑な画面を構成しています。
正面壁面の大作「焼けた砂浜に素足をしのばせる」です。
この技法が最も成功した作品で、誰のでもない、三本さんの絵画が全開しています。
この美しい彩りは、シルバーポイントとカーボン紙の線があってこそのものです。
右壁面の「lazy afternoon 5」です。
小品3点の「Touch me」の1点です。
「lazy afternoon 6」です。
三本さんの絵画は、最初はボンヤリとした画面に見えますが、次第に色が浮き上がってきます。
そして画面に空気のようなものが漂ってきます。
その見え方の変化が、技法と共に独特です。
最後は入口横壁面の「まどろみ」です。
会場には三本さんの本展に対する短いコメントが貼付されています。
全文を載せてみます。
眠れぬ夜、幼い頃のひとり遊び。
瞼の裏の光景をそっと心の奥にしまい込む。
気怠い午後。鼓動と秒針だけが響く中、
細波が手と手の狭間を行き来する。
今、記憶の上澄みを掬う
三本さんの絵画は抽象画ですが、コメントの雰囲気、イメージが画面に展開されています。
しかしこの技法と、絵画の感触。
見事に溶け合っています。
毎回のことですが、掲載した画像と実際の作品は相当に違います。
何が一番違うかと言えば、その空気感です。
絵画の持っている空気感がなかなか画像では伝わらない。
特に三本さんのような作品は実際に見ていただくしかありません。
色と形の織りなす、絵画の秘密。
その秘密が、三本さんの作品にはあります。
ボンヤリとしていながら、印象に残る絵画。
技法が技法のためにあるのではなく、ある空気を生み出すために存在する。
そんな感想を強く持った作品と展示です。
なお展覧会初日には、三本さんのご友人である小田切淳子さんの舞踊と絵画のコラボレーションが催されました。
下の画像はそのワンショットです。
南インドの古典舞踊とコンテポラリー絵画。
水と油のようで、実際は同じ時間を共有していた楽しいパフォーマンスでした。
ご高覧よろしくお願い致します。
2010年藍画廊個展
会期
2011年9月19日(月)ー9月24日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)