藍 画 廊



三本博子展
MITSUMOTO Hiroko


三本博子展の展示風景です。



入口から見て、左側の壁面です。
展示作品のタイトルはすべて「untitled」、つまり題名がありません。
作品サイズは左が80.3(H)×80.3(W)cm、小品は左列が各9.5×14.5、中央列が各14.5×19.0、右列が各9.5×14.5です。
その右の2点は80.3×80.3(S25)です。



正面の壁面です。
3点とも80.3×80.3です。



右側の壁面です。
左から80.3×80.3、80.3×80.3、22.7×31.6 (WSM)、18.0×36.0 (WS)、80.3×80.3です。



入口横の壁面です。
左から、小品3点は各9.5×14.5、80.3×80.3、小品3点は各9.5×14.5、入口右の作品は33.3×24.2 (F4)です。

作品は綿布・アクリルガッシュで、小品のみ紙・ガッシュです。
以上の28点が展示室の展示で、その他小展示室に12点、事務室壁面に1点の展示があります。



左壁面の作品です。
いわゆる抽象絵画で、特にモチーフはありません。
まず色から制作に入っていくそうです。

 


左壁面、9点展示された小品のうちの2点です。
左は色のコントラストが、右は微妙な色の違いが美しい作品です。



同じく左壁面の作品です。
この作品と隣の作品はピンク系の色相で、モヤッとした雰囲気の柔らかさがあります。
その2点と相対している右壁面の2点はイエロー系で、やはり同じ系統の作品です。



正面壁面の左端の作品です。
こちらは、あふれるエネルギーが色と筆跡に表れています。



これは正面壁面の右端の作品です。
同じようにエネルギーを感じる作品ですが、色合いや筆使いの違いが、中央の赤の作品を挟んで効果的に展示されています。



右壁面の2点です。
対で展示されています。



最後は入口横壁面の作品です。
正方形シリーズの最後に描かれた作品だそうです。



三本さん、何と17年ぶりの個展だそうです。
育児等でお忙しかったらしく、絵画と寝食を共にする生活に戻った、と嬉しそうに語っていました。
作品点数の多さは、その表現欲求の表れかもしれません。

作品について、三本さんに訊いてみました。
まず色からスタートするそうです。
そして目指すところは、何と、作品の画面ではなくて、パレットの状態だそうです。
つまり無作為に置いた色が混じり合い、多様な筆跡がついた、混沌としたパレットの状態を目指しているとのことです。

三本さんはパレットとして缶のフタを利用しています。
それを大まかに色系列ごとに用意して、絵の具を置いて、制作に取りかかります。
制作が進むと、缶のフタのパレットはいろいろな色が混じり合い、絵の具を取る筆跡も一様ではなくなります。
ふとそのパレットに目が行くと、とても美しい様相を呈している。
わたしの想像では、その様相の自然な美しさが、三本さんの目指すところではないかと思います。

つまり、三本さんの表現は作為と無作為の、有心と無心の間にあります。
描こうという行為や心に過度に傾かず、自然に任せるところは、自然に従う。
そのバランスを、頭ではなく身体でとる。
それが三本さんの絵画だと思います。
そう思って改めて作品を見れば、確かに、パレットのような画面です。

三本さんは必要に迫られて、制作を屋上で行っているそうです。
大空の、太陽の下で絵を描いているそうです。
その環境が、三本さんの絵画には表れています。
どこがどうのと指摘は出来ませんが、少なくともある種の大らかさ、エネルギーは、青空の恩恵です。
展覧会場に並べられた絵が、屋上で天に向かって並んでいる。
そんな光景を会場で想像するのも、楽しいかもしれません

ご高覧よろしくお願い致します。

会期

2010年4月26日(月)-5月1日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内