有本一美展
-PLEROMA-
ARIMOTO Kazumi
有本一美展の展示風景です。
画廊入口から見て、左の壁面です。
作品サイズは3点共同じで、727(H)×606(W) (F20)mmです。
正面の壁面です。
1000×803 (F40)です。
右側の壁面です。
左から、333×242 (F4)、333×242 (F4)、227×158 (SM)、227×158 (SM)です。
入口横の壁面です。
左から、227×158 (SM)、333×242 (F4)です。
以上の10点で有本一美展は構成されています。
作品はすべてキャンバスに油彩です。
左壁面の左側の作品です。
この画像で見るとシンプルなドローイングに見えますが、実際は複雑な構造を持った絵画です。
まず下地として何色か塗られ、最後に白が塗られます。
その間、テーピングによって枠が形作られます。
そしてドット(点)のような描写で画面が作られています。
左壁面中央の作品です。
この作品の部分アップをご覧下さい。
画面に細かなドットが、放射線状に描かれているのがお分かりかと思います。
線描は画面の表面から凹んだ形になっていて、線描の内側は、ドットというより、細い筆で色が丹念に一つ一つ塗り込められています。
上の方に枠のようなラインが描かれているのも分かりますね。
これは左壁面の右側の作品です。
左側の2点が対のような二つの形で描画されていましたが、これは単独の形です。
いずれも、人が踊っているようにも見えるフォルムです。
正面壁面の作品です。
どこかマチスのダンスを彷彿させる、楽しさと解放感に溢れた作品です。
右壁面の小品2点です。
右壁面と入口横壁面の小品2点です。
この2点は地が青になっています。
画廊に入ってまず感じることは、作品がシンプルで楽しく、気持ちの良い絵画だということです。
それを支えているのは前述した、画面の複雑な構造ですが、そういった技法と表現がうまく融け合っています。
白い絵画と青い絵画の対比も、とても美しく画廊の空間に在ります。
作品サイズのバランスも、空間にほどよい緊張感を生んでいます。
有本さんは一貫して「PLEROMA(プレロマ)」というタイトルを展覧会に付けています。
PLEROMAとはユングの自伝に出てくる言葉で、対立する事柄を一つに含め合わせて表す言葉のようです。
有本さんは充満、つまり一定の空間などに、あるものがいっぱいに満ちることをPLEROMAと呼んでいます。
しかしPLEROMAには空(無)という意味もあり、言葉はその二つの相反する内容を含んでいます。
生があれば死、熱さがあれば冷たさ、活動があれば停止、そういった対立の組をPLEROMAという言葉は表しているようです。
有本さんの絵画は、生で充満しています。
他方で、無でもあります。
それは何もないということではなくて、無限という空間の中では、充満も無も同じ意味だからです・・・・・。
難しく考えることは、ないかもしれません。
画廊に展示された絵画と向き合えば良いのです。
わたしに見えるのは、存在することへの賛歌です。
それは舞踏のようであり、音楽のようであり、そして紛れもなく絵画という形式を使った視覚表現です。
長らく続いているPLEROMAシリーズも、今回は飛躍がありました。
その方法論の積み重ねと思考が、大きく開花したと思います。
ご高覧よろしくお願い致します。
2002年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
会期
2010年9月6日(月)-9月11日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内