藍 画 廊



おかの素子展
ーしじゅうー
OKANO Motoko


おかの素子展の展示風景です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、作品タイトル「老」で、作品サイズ32(H)×21(W)cm、「You」で50×84、「東京」で29×30、「夜」で40×44です。



正面の壁面です。
「幸」で170×153です。



右側の壁面です。
左から「結」で58.5×41、「繼」で137×183です。



入口横の壁面です。
「光」で122×57です。

以上の8点でおかの素子展ーしじゅうーは構成されています。
作品はすべて和紙に墨です。



本展のサブタイトルはーしじゅうーです。
ーしじゅうーとは四十のことで、おかのさんが四十歳になったことを示しています。
四十歳とは人生の折り返し地点ともいえる年齢で、そのころから「老」を意識するようになります。
左壁面の「老」はそんな心境を表した作品でしょうか。



おかの素子展は書の展覧会です。
ですから書かれているのは言葉です。
この言葉、読めますか?
読めないでしょうね。
なぜなら、アルファベットだからです。
「You」。
書かれた言葉は亡き親しい人の名前だそうですが、額装(表具)は桐と大島紬を使った美しいものです。



左壁面の「東京」と「夜」。
「東京」は、おかのさんが永らく住んでいた福岡から東京に移り住んだ印象を書いたもの。
「夜」は東京の月の美しさを書いたもので、月がちゃんと書(描)かれていますね。
この2点、書も素晴らしいのですが、額装(表具)との組み合わせにもうっとりします。
木と布を巧みに配して、書とコラボレーションしています。



正面壁面の大作、「幸」です。
ーしじゅうーは、「幸」ということも深く考え始める年齢かもしれません。



右壁面の「繼」です。
繼は継の異体字です。
筆致に気を感じられる作品です。



最後は入口横壁面の「光」です。
優しい、光ですね。


わたしは書に関しては素人です。
ですから正直、書の本当のところはわかりません。
でもそんなことは関係ないような気がします。
とても楽しい展覧会ですし、作品に気取りや力みがなく、とても親しみやすい。

本来藍画廊は美術の展示会場ですから、書はとても珍しい展示です。
しかしおかのさんの作品は造形的で、あまり違和感を覚えません。
表装(表具)は桐箪笥を専らに制作している職人さんの手になるそうです。
この職人さんとおかのさんの感覚が上手く合致していて、古典西洋絵画の絵と額の関係を連想させます。

人の年齢には節目がありますが、四十歳になると、人生を折り返したという実感を伴います。
「老」、「You」(死)、「東京」、「夜」、「幸」、「結」、「繼」、「光」。
おかのさんのーしじゅうーが、書という形式で表されています。
そこには人間生きてきて、又これからも生きていくという事実があります。
その事実の重さと軽さが、喜びと哀しみが、おかのさんの書には表現されています。

一見奇をてらっているようで、とてもとても素直な表れ。
それがおかのさんの書です。

ご高覧よろしくお願い致します。

2006年藍画廊個展

会期

2010年4月12日(月)-4月17日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内