清岡正彦展の展示風景です。
画廊の中央部に二つのガラステーブル。
インスタレーションの作品です。
左は、作品タイトル「呼び出される景色」で、サイズは可変、ポリエステルパテ、エマルジョンパテ、ラッカー塗料、ウレタン塗料、ガラス、ボールチェーン、浴槽栓 などを使用しています。
上とは見る方向を変えた、作品の展示画像です。
画廊内部を左側壁面から見たものです。
手前は先ほどの「呼び出される景色」で、奥のガラステーブルと壁面の作品で「引き合いの場所」を構成しています。
(正確には道路側ウィンドウの展示の一部も含まれます。)
サイズは可変で、 木材、石、FRP、ポリエステルパテ、エマルジョンパテ、ラッカー塗料、ウレタン塗料、ガラス、額縁、ボールチェーン などを使用しています。
「呼び出される景色」です。
レディメイド(既成)のガラステーブルに、小さな舟が一艘載っています。
このページの一番上の小さな画像が、その舟のアップです。
ボートのような、舟ですね。
舟には鎖が付いていて、鎖は天井まで伸びて、再び画廊の床付近まで下っています。
先には浴槽栓が付いています。
「引き合いの場所」の一部です。
ガラステーブルの上には島のような地形が作られています。
それはガラスの下に続いていて、海面の上下のような景色です。
ガラスの下には、「呼び出される景色」と同じ小さな舟が、やはり鎖に繋がれて設置されています。
鎖は壁面の方に伸びていて・・・・。
額縁の中に入り込み、そこから又出て、道路側ウィンドウに伸びています。 額縁の中には、何も描かれていない絵(?)が入っています。 |
鎖の行方を辿って道路に出てみると・・・・。
裏側にも額縁があって、その中に小さな舟が繋留されています。 つまり、「引き合いの場所」は小さな舟と小さな舟が引き合っている空間(場所)になります。 奥の作品は、「不在の島」で、サイズ可変、木材、石、FRP、ポリエステルパテ、エマルジョンパテ、ラッカー塗料、ウレタン塗料 などを使用しています。 |
小さな白い舟。
これは作者の分身を連想させます。
小さな白い舟は世界を航海しています。
青緑のガラスは海のようで、舟は海上にあったり、海中にあったりします。
舟を取巻いているのは、世界=風景です。
しかし、この風景は尋常ではありません。
わたしたちの視覚認識を混乱させる、風景です。
わたしたちは、画廊に入ると絵を観賞します。
白い壁面は、その道具立てで、絵の実在に対して不在の役割を担っています。
あっても、ないものと見なすわけです。
映画館のスクリーンと同じ役目です。
視覚とは、学習によってそのようなシステムを獲得し、認識を行います。
視覚は、知らず知らずのうちにその内部に秩序を形成します。
つまり、わたしたちは世界=風景を秩序立ったものに再構成して、見ているのです。
清岡さんの作品は、秩序の構成物を一旦すべて等価にし、新に組み立直したように思えます。
そのプロセスはかなり特異で、構成物の衝突と連鎖があります。
しかしながら、この世界には奇妙な統一感があります。
世界が世界として、完結しているのです。
画廊内部には、一滴の水もありません。
ないにもかかわらず、清岡さんの作品の世界は水で成り立っています。
水こそが、清岡さんの作品の核心で、世界の源です。
もちろん一筋縄ではいかない世界で、大海と浴槽が同一地平に置かれているような風景です。
そのネジれと統一感が、視覚認識と日常に揺さぶりをかけ、風景の真の姿を表出しています。
実は、画廊内にはもう一つの作品があります。
「近くて、遠景」と題された作品です。
それは、不在の中に紛れ込んでいます。
画廊で、貴方の眼で、見て下さい。
清岡正彦展「風景に還る」は今週(8/6〜8/11)、次週(8/13〜8/18)の二部構成となっています。
次週では今回の作品を大幅に変化させたものが展示されます。
さて、どのように変わるか。
乞うご期待。
ご高覧よろしくお願いいたします。