石本かや乃展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「0528」で、サイズ1120(H)×1303(W)mm、
「0529」で、1303×970mmです。
入口横右の壁面です。
「0106」で、315×800mmです。
左側の壁面です。
「0730」で、1620×1303mmです。
以上の四点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに二点の展示があります。
作品はすべて綿布に油彩です。
左壁面の「0730」です。
「0730」は7月30日で、制作月日がタイトルになっています。
前回同様、風景を描いた作品です。
石本さんの描く風景は自宅周辺が多いのですが、この作品は他所(よそ)の風景です。
運河を描いた作品で、近くに見えるのは島です。
遠くに、運河の入口らしきものが見えます。
正面壁面の作品です。
まだ畑が多く残っている石本さんの自宅付近でしょうか。
大胆な省略と鮮やかな色彩は前回と同じですが、省略の仕方に変化が見られます。
水平と道を中心にして、パースと縦の動きを強調したような前回とは違い、水平辺りの風景を中心にして、その上下を省いている感じです。
右側壁面の「0529」です。
遠くの山並みを描いています。
省かれた手前の空白に、空間を感じます。
入口横右壁面の「0106」です。 横長の画面で、比較的描き込みの多い絵ですが、上半分の空が生きています。 |
石本さんに制作方法を訊いてみました。
まず風景を写真に撮り、それを基にして、紙に色鉛筆でドローイングします。
この段階で、描く部分と省略する部分がほぼ決定されます。
(ドローイングはファイルされて画廊に置かれていますが、カラフルな色鉛筆の線と色彩が魅力的です。)
今度はそのドローイングを基にして、綿布に油彩でペイントされます。
描き方は、色鉛筆の場合と同じで、(やり直しの効かない)一発勝負です。
この風景を見て感ずるのは、その空間の在り方です。
描かれていない部分が含む、豊かな空間の在り方です。
描かれていないからこそ、それは限りがありません。
無限です。
無限の空間を支えているのは、描かれた風景の形と色彩です。
その瑞々しさが、描かれていない風景の空間を拡げています。
空と地(水)。
それを分ける地平線。
石本さんの風景画の基本要素です。
そこで生まれた空間は、風景だけが持つ空間です。
その空間を、大胆に省略することによって、石本さんは描いています。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2005年藍画廊個展