藍 画 廊



中澤豊水展
NAKAZAWA Toyomi


中澤豊水展の展示風景です。



平面作品(カンバスに油彩)で画廊内に六点、道路側ウィンドウに一点の展示があります。
各壁面ごとの展示をご覧いただきます。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

左は、作品タイトル「
Bubble cosmology 05-1」で、サイズは185.0(W)×150.0(H)cmです。
右は、「Bubble cosmology 05-3」で、81.0×65.0cmです。



入口横右の壁面です。

左から、「Bubble cosmology 06-2」で、62.0×50.0cm、
「Bubble cosmology 05-2」で、114.0×81.0cmです。



左側の壁面です。

左から、「Bubble cosmology 06-1」で、162.0×114.0cm、
「Bubble cosmology 05-4」で、53.0×53.0cmです。



右側壁面の「Bubble cosmology 05-3」です。
宇宙のイメージ、に見えます。
タイトルを直訳すると、泡宇宙論になります。
泡と宇宙、どこで繋がるのでしょうか。

宇宙はいろいろなものに喩えられますが、泡の構造に喩える論があります。
それはマイナーな考え方ではなくて、専門家の間では広く知られています。
(といっても、わたしが予め知っていたわけではなく、作家に中澤さんにお聞きしたのですが。)
Webで調べると、泡と宇宙の構造についてこのような説明がありました。
「宇宙の構造」

超銀河団と超空洞の関係は、宇宙は泡構造を持つと言える。
つまり宇宙の中にはあっちこっちに巨大な泡があって、その内側には銀河はなく空洞が広がっている。
つまり銀河は泡の表面に広がっていることがわかってきたのである。

結論のみの引用ですが、詳しくは上記のページをご覧下さい。
宇宙が泡の構造と似ているのは、何となく分かったのですが、中澤さんの絵画との関係は不明です。

そこで登場するのが、ボロノイ分割という方法です。
ボロノイ分割とは、任意に打った複数の点を結ぶ直線に、垂直二等分線を引き、各母点の最近隣領域を分割したものです。
「ボロノイ分割とは?」

実は、泡の構造とボロノイ分割は同じだったのです。
そこに着目した中澤さんは、画面に任意の点を多数描き、それをボロノイ分割していきました。
新たな出来た交差点を、又ボロノイ分割していき・・・・。
システマティックな描画の間に、中澤さんの主観的描画が入って、絵は完成されていきます。
(絵は何層もの透明な色のレイヤー/層を重ねて、最終的に黒い画面になっています。)


道路側ウィンドウの作品(50.0×35.0cm)です。

宇宙空間に浮かぶ星の数々。
パース(遠近感)は、レイヤーによって生じる色の滲みやボケを効果的に活かしています。

宇宙の謎は、わたし達が存在している不可思議さと同じです。
その構造を科学的に追及していくと、自然界の現象や成立ちと重なってきます。
つまり、わたし達は身近な日常に宇宙と同じものを見ているのです。

他方、科学とは反対の宗教や呪術、民間信仰にも同じような宇宙像があります。
例えば、密教の曼荼羅です。

中澤さんの絵画が興味深いのは、科学的解明のプロセスを応用しながら、直観で描いていることです。
ボロノイ分割も制作の基点として利用していますが、絵が描かれていく過程で色や点の大きさを決めていくのは、あくまでも中澤さん自身の直観です。
そして、直観とは、画家の眼に他なりません。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2003年藍画廊個展
2004年藍画廊個展



会期


2006年6月19日(月)-6月24日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


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