岡本仁美展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左はタイトル「Tori」で、130.3×162.0cm(oil,oilpastel on canvas)。
右は「Isu」で、72.7×91.0cm(oil,oilpastel on cotton)。
入口横右の壁面です。
「saku」で、91.0×116.7cm(oil,oilpastel on canvas)。
左側の壁面です。
「Hako」で、145.5×112.0cm(oil,oilpastel on canvas)。
以上四点が画廊内の展示作品で、この他道路側ウィンドウに二点、芳名帳スペースに一点の小品が展示されています。
画廊に入ってまず感じたのは、色彩の美しさです。
その美しさをこのページで再現するのは難しいのですが、何点かご覧いただきます。
左側壁面の「Hako」です。
薄いグレーの画面に、オイルパステルでうっすらと何かが描かれています。
何が描かれているのでしょうか。
画廊に「制作ノート」と題された岡本さんのテキストが貼付されています。
始めからモチーフがあって描いているわけではない。
描いたり消したりを繰り返す中で、ふっと現れる気になるカタチがある。
そしてそれは、毎日の生活の中で、何気なく見たり接したりしている身の回りのものであると気付く。
なぜ、そのようなものが画面に現れるのかは、わたしにも分らないけれど、それは、自分に心地よく寄り添い存在していることに、あらためて気付かされる。
画面に過剰なものはいらない。
シンプルに、静かにその気配を存在させたい。
2004年2月 岡本仁美
(改行は原文とは異ります。)
正面壁面の「Tori」です。
作品の重要な要素であり、展示全体でも印象に残るのが、この作品の黄色です。
心地よい無彩色の色相が多い画面の中で、控えめに主張された黄色。
背景に溶け込んでいるようで、浮いているような曖昧さ。
その曖昧さが、作品の魅力です。
記憶の中でふと浮上する、曖昧な何か。
曖昧なのだけれども、わたしにとっては欠くことのできない何か。
その気配を、岡本さんは静かにシンプルに描いています。
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道路側ウィンドウの小品二点です。 (各25.5×20.5cm) 画廊内の作品と違い、描かれているものが分ります。 梯子のようなものですね。 でも、ここにも曖昧さがあって、その気配が穏やかに存在しています。 |
曖昧なものを、曖昧なままに描く。
その曖昧なものは岡本さん個人の生活や記憶から生れたものですが、観ているわたしも感じることができます。
その気配の心地よさと美しさを、感じることができます。
その曖昧さは、わたしにとって(人にとって)欠くことのできない何か、だからです。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2002年藍画廊個展