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二十世紀


子供のころ、自分で買うお菓子といえばキャラメルでした。
一箱二十円ぐらいで買えたと思います。
当時のメジャーなキャラメルは、森永ミルクキャラメル、明治フランスキャラメル、グリコでした。
わたしの贔屓は森永ミルクキャラメル。

文字通りバタくさい、飽きのこない味が好きでした。
明治フランスキャラメルはホワイトキャラメルで、独特の香りが素敵でしたが結構しつこい味でした。
パッケージには、丸い缶を持ったフランスの少女が描かれていました。
その缶には、同じ丸い缶を持った少女が描かれています。
入れ子状態というか、合わせ鏡というか、同じ絵が延々と続く仕掛けになっています。

子供のわたしはその不思議さに取り憑かれ、以降このタイプのトリック愛好者となりました。
有楽町マリオンの上階エスカレーター横の合わせ鏡が、スケールがあって好みです。
最近では、銀座通り五丁目の「adidas」直営ショップの階段にある合わせ鏡が秀逸です。
一瞬ですが、トランス状態になります。

話をキャラメルに戻すと、グリコといえば「おまけ」です。
味は前二社に比べるとドメスティックな味です。
パッケージもドメスティック。
「一粒300メートル」は、誰でも知っている名コピーですね。


そのグリコを久しぶりに買ってしまいました。
近所のセブンイレブンで買い物をしていたら、ケースにグリコが並んでいます。
おまけの箱がいやに大きいグリコです。
(このグリコは地域限定で、一箱198円でした。)

「懐かしの20世紀」、「タイムスリップ」。
これらの文字が目に飛び込んできました。
おまけのサンプルも飾られています。
なかなかの出来です。
試しに一つ買ってみました。


おまけの袋を開けると、電気掃除機です。
シリンダータイプの古る〜い掃除機に、畳が一枚と猫と座布団。
これは、良く出来ています!
掃除機自体も小さい割には精密ですし、なにより畳や猫+座布団の小道具が雰囲気を出していますね。
当時(1960年代)の生活ぶりが上手く再現されています。

このおまけにハマってしまったわたしは、この後グリコを買い続ける羽目になりました。



次に二個買ったグリコのおまけです。
「タイムスリップグリコ」は第1弾全15種で、鉄人28号シリーズ、のりものシリーズ、くらしシリーズがあります。
左は、松下電器製の電気冷蔵庫です。
西瓜と牛乳もついています。

右は、トヨタ2000GT。
「007は二度死ぬ」で、ボンドカーにもなりました。
ボンドガールは浜美枝と若林映子だったと思います。
映画で、日本人に化けて田植えをするジェームス・ボンド(ショーン・コネリー)。
誰が見ても白人にしか見えなかったですけど・・・・。



このテレビは1952年発売です。
テレビ放送が始まったのが1953年ですから、最初期の17インチ白黒テレビですね。
テレビの上のお人形がカワイイ。

右はご存知鉄人28号。
このシリーズは5種類あって、しかもカラーバージョンもあります。
わたしは何故か鉄人28号に当たらず、今持っているのはこれだけです。



ボンネットバスとバス停のセットです。
ボンネットバスには車掌(バスガール)がいましたね。
黒いカバンを下げていて、「次は〜」と案内してくれました。
親戚の叔母さんが富士急行のバスガールでした。

観音開き(後ろのドアノブが前にある)のクラウンです。
ステッキを持った紳士と街灯が雰囲気を出していますね。

以上、わたしが持っている「タイムスリップグリコ」のおまけです。
しかし、買ったのは全十個です。
三個ダブりです。
掃除機と冷蔵庫とトヨタ2000GTがダブってしまいました。
こういった収集にはダブりがつきものです。
同好の士と交換する楽しみもあります。

しかし、懐かしいですね。
日本の二十世紀のミッドセンチュリー。
科学と技術への素朴な信仰があった1950〜1960年代。
今思えば幸せな時代でした。
グリコの味は
ペパーミントではありませんが、希望があった時代の味かもしれません。




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