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ストレンジ・フルーツ


今週の火曜日(11月6日)のことでした。
わたしは昼前に起きて、駐車場にクルマを取りに行きました。
クルマをアパートの前に停めて、妻が出てくるのを外で待っていました。
何気なく目の前の木を見ていました。

わたしの住んでいる西荻のアパートは、築三十五年は越している木造の二階建です。
ここに越してから既に二十五年(!)ぐらい経ちます。
(今は単身赴任状態で山梨に行ってますから、ここには週一日しかいません。)

アパートは三軒の棟割りになっていて、各戸に小さな庭がついています。
2×4mほどでしょうか。
猫の額ほどの庭です。
この猫の額ほどの庭が、ウチの猫の唯一の縄張りのようです。
(↑この比喩はウチの猫のプライドを著しく傷つけるでしょうね。)
わたしが何気なく見ていたのは、ウチの庭に生えていた木です。


さて、木を見ていたら果物を発見しました。
実は去年も発見したのですが、それはたった1個でした。
今年は三十個はあります。
逆光でちょっと見えにくいですが、このカットだけでも五個は見えます。
後ろはアパートの二階です。


ここに越してから、庭の手入れはしたことがありません。
放りっぱなしです。
園芸の趣味がないからです。

それでも、前の住人が植えた薔薇や、どこからか飛んできた紫陽花の種が花を咲かせました。
この木の高さは三メートル弱ぐらいですが、何時ぐらいから生えていたのか不明です。
わたしたちは、そういうことには無頓着な住人なのです。



昨夜の雨をうけて、果実に水が滴っています。
大きさはソフトボールの大きさぐらいあります。
まだちょっと青いですね。
去年成った時も不思議に思って撮影し、「真実の研究」のカットで使用しました。
今年は三十個も実をつけました。

いったい何の実なのでしょうか?
一つもいで、クルマの中に入れておきました。

それを、今日取り出して包丁で切ってみました。
切った瞬間、柑橘類特有の香りが辺りに漂いました。
香りはベリーナイスです。
食べてみましょう。


うん、これはどうやら夏みかんですね。
夏みかん、今ごろ成るのでしょうか?
紅葉の季節に夏みかんとは、ちょっと不思議な取り合わせです。
でも別に間違いでもないようです。

味もジューシーで美味でした。
もう少しおいて収穫すれば、ほど良い甘さも出そうです。


しかし不思議なのは、東京の西荻の、夏みかんとは縁のなさそうな狭い庭に何故成ったかということです。
それも放りっぱなしの庭に。
よほどこの庭の土壌が良いのでしょうか。

今考えると、何年か前にわたしか妻が夏みかんを食べ、その種を庭に捨てたのが芽を出して木になり、実を結んだのでしょう。
あずかり知らぬところで実が結ぶ、何か得した気分です。
長生きはするものですね。
(という、歳でもまだないか。)

今回はビリー・ホリディとは全く関係のない、「ストレンジ・フルーツ」でした。




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