藍 画 廊

井上誠
- うつら、うつら -

INOUE Makoto




井上誠展の展示風景です。








上から、画廊入口から見た展示室A、展示室A左壁面、右壁面、展示室B左壁面、右壁面の展示です。
以上の15点で井上誠展は構成されています。
(その他展示室Aに1点、展示室Bコーナーに1点の展示があります。)
作品の詳細をご覧下さい。


展示室A左壁面左側の作品です。
左からタイトル「ひみつ」(和紙、アクリル絵具)でサイズ273×220mm、「めざめ」(和紙、アクリル絵具)でφ333mm、「よあけ」(和紙、アクリル絵具)で803×652mmです。



左壁面右側の作品です。
左から「おとしもの」(和紙、アクリル絵具)で410×175、「まちあわせ」(和紙、アクリル絵具)で450×910mmです。



展示室A右壁面の作品です。
左から「できごと」(和紙、アクリル絵具)で455×455mm、「さかい」(和紙、アクリル絵具)でφ652mm、「かげ」(和紙、アクリル絵具)で273×220mmです。



展示室B左壁面、窓壁面の作品です。
左から「sort」(アクリル絵具)で420×594mm、「destination」(アクリル絵具)で333×530mm、「far」(アクリル絵具)で210×148mmです。



右壁面とコーナーの作品です。
左から「twilight」(アクリル絵具)で300×300mm、「watchman」(アクリル絵具)で300×300mm、「slow」(アクリル絵具)で300×300mm、「connect」(アクリル絵具)で300×300mmです。

<作家コメント>
漂ういきものと、その周りを囲む文様の間には、互いを隔たる朧げな境界が存在しています。
「集団・共同体の中にいながらも時折感じる言い知れない孤独」と「余白や間」といった、心理的・物理的な距離間隔を表現できればと思っています。


井上さんの丁寧に描かれた絵を見ているうちに、わたしは妙なことを考えていました。
展示室Aの金魚や蝶の図の背景は紋様になっています。
この紋様が会社員(サラリーマン)が付けるバッジ(社章)に見えてきたのです。
その昔の会社員は誰もがスーツの襟にバッジ=会社章を付けていたように記憶します。
ところが近年はバッジよりも「ネックストラップ/IDケース」と呼ばれる身分証に変わったような気がします。
(バッジも付けているかもしれませんが。)
バッジの時代は帰属意識が前面に出ていて、いわば終身雇用、年功序列の日本的株式会社を象徴していました。
それが個人が前面に出て、あたかも井上誠さん描く生物や植物のようになったのです。
一応は背景(帰属)があっても、それは一時的なもので、かつて一体であった図と地の間には隙間があります。

バッジの時代には、会社にはヘンな人も居ました。
出目金や琉金のような変態でありながら、その人たちも一応は会社員でした。
宴会や社員旅行で本領を発揮するような社員でも、いろんな人が居るのが会社でした。
ところがいつの間にか画一的な人ばかりになって、写真入りのケースを首から提げるようになりました。
そうしないと誰だか分からなくなったからです。
(もちろんセキュリティ方面の要請が主ですが、それもまた時代ですね。)

会社に順応しようとして個性を消さなければいけない時代に個性的な会社員が居て、個性を出さなければいけない時代に画一的な社員ばかりになってしまう。
このパラドックスは井上さんの考える「孤独」とどこか繋がっているように思えます。
絵とは全然違うことを考えながら、わたし自身は妙に納得した気分です。

ご高覧よろしくお願い致します。


作品リスト

2012年藍画廊個展
2021年藍画廊個展
2022年藍画廊個展
2023年藍画廊個展

 

会期

2025年11月24
日(月)ー11月29日(土)
11:30ー19:00(最終日17:00まで)

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