藍 画 廊



オオワダノリコ展
OOWADA Noriko

オオワダノリコ展の展示風景です。




各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「2013 D」でサイズ90(H)×65(W)cm、「2013 A」で100×80.5です。



正面の壁面です。
「2013 B」で100×80.5です。



右側の壁面です。
左から、「2013 C」で100×80.5、「Radius One」で23×23、「Draw One」で23×24.5です。



入口横の壁面です。
左から、「Red One」で18×18、「Blue One」で18×18です。

以上の8点でオオワダノリコ展は構成されています。
作品はすべてキャンバスに油彩です。



左壁面の「2013 D」です。



左壁面の「2013 A」です。



正面壁面の「2013 B」です。



右壁面の「2013 C」です。



右壁面の「Radius One」と「Draw One」です。



入口横壁面の「Red One」と「Blue One」です。


画廊壁面に「2013年の個展に思うこと」と題したオオワダノリコさんのテキストが貼付されています。
長文ですが以下に転載いたします。


2013年の個展に思うこと

あの日以降…
私たちは何に怯え、何に怒り、何を信じて今を生きているのだろうか。
あの日以降…
私たちはこの国家に、人として当たり前に生きる権利すら踏みにじられようとしている中、いったい誰を信じ、何に希望を持ち続け生きてゆけば良いというのだろうか?

あの日の「大きな出来事」から世間が少し落ち着き始めると、じわじわと「アートには何ができるのか」という言葉が飛び交った。そして人々が集まり出す。「アート」とは何か? アートは社会に対して何ができるのか?と動き出す。しかし中にはその関わりに怯える者たちもいた。当初「アート」は全くの無力であったから。当然である。 

翌2012年、ドイツのカッセルで「ドクメンタ13」が開催された。 その「作品」と言われるものの中のひとつに「あの日のフクシマ」を衝撃的に、しかもダイレクトに繰り返し、繰り返し映像で伝えるモノがあった。海外作家の作品だ。言いたくはないが私はこの度の震災で被災した。そんなモノをドイツまで来て見聞きしたくはなかった。社会との関わり…何の物理的解決をも計る事の出来ない「アート」という立場からのジャーナリズムとの関わり。だからこそ出来ることがある、と彼らは言う。しかしそれらは問題を提起はするが、当事者を救いはしない。むしろ苦しませる。これらは今「美術」という範疇ではなく「アート」という範疇に多く存在する。私の疑問は単純に「その種の作品」はいったい誰の心を救うことが出来るのか?ということなのだ。アートにはいろいろな表現がある。だからこそ「それら」を祭り上げるアート界の人たちに問いたい。あなた方が、果たして当事者の心をどう救うことが出来るのか、と。

このような動きが切っ掛けとなり、明確になった事がある。それは、私は美術界の人間ではあるけれど、アート界の人間ではないという事だ。「アート」は「絆」「繋がり」が必須であり、「社会と関わる事によって作品を作り上げる」と定義される。しかし、私たち「美術」の世界に泳いでいる者たちはそうではない。美術は何よりも孤独で、社会との関わりを否とする個人により創り上げられる。寡黙に自分と戦い続ける。それは社会の何の役にも立たず、社会から何の価値も与えられないかもしれない。しかし、だからこそ、そこには嘘も無く、見栄も無くすっくと立つ「個」があるのだ。美術作品を創るという事はそういうことだ。とても個人的な事であるのだ。だからこそ、存在する意味がある。 今、いったい何が真実なのか、そうでないのか、自分のこのうやむやとした気持ちを一度塗りつぶして考え直してみよう。これが私の今回の表現となった。


重い問いかけです。
美術とは、アートとは・・・・・。
普段当たり前のように使っている言葉の意味を再確認する。
そこから自分がやるべきこと、できることを考える。
オオワダノリコさんの2013年の個展はそこから出発していると思います。

キャンバスに油絵の具を載せて、筆の代わりに木片をスキージのようにして描画する。
これが今回のオオワダノリコさんの手法です。
実際に使われた木片は右壁面の「Draw One」に作品としてキャンバスに貼り付けられています。
(木片に残った数々の色が面白い効果を生んでいます。)

作品は、手法こそ特異ですが、オーソドックスな絵画です。
鮮やかな色に輝きと深みがあります。
木片のタッチには身体の動きが反映されていて、ダイナミックです。
何よりも、ここから出発するという強い意志が、絵画に表れています。

絵画は美術の原点の一つです。
美術というものが生まれてから今日まで存在しているものです。
そんな原点に戻る。
美術を、アートを、今一度考える上では有効な手段かもしれません。

ご高覧よろしくお願い致します。

2011年藍画廊個展


会期

2013年11月18日(月)ー11月23日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内