藍 画 廊



Setten Far and Near
[接点 遠くそして近く]
大塚つとむ+堀正明+田中正弘+橋本伸也
OTSUKA Tsutomu/HORI Masaaki/TANAKA Masahiro/HASHIMOTO Shinya

Setten Far and Nearの展示風景です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
大塚つとむさんの作品です。
左からタイトル「フラウア Flower2012-1」でサイズ64.5(H)×46.5(W)cm、「フラウア Flower2012-2」で64.5×46.5、「フラウア Flower2012-3」で46.5×64.5、「フラウア Flower2012-4」で46.5×64.5、「フラウア Flower2012-5」で64.5×46.5、「フラウア Flower2012-6」で64.5×46.5、水彩紙にガムプリント オン サイアノです。
(「フラウア Flower2012-5」のみ水彩紙にサイアノタイプ)



正面の壁面です。
田中正弘さんの作品です。
上から「昆虫記 アカボシゴマダラチョウ」、「昆虫記 クロアゲハ」、「昆虫記 アゲハチョウ」、「昆虫記 キアゲハ」、「昆虫記 アオスジアゲハ」、「昆虫記 キアゲハ」、「昆虫記 ツマグロヒョウモン」、「昆虫記 アゲハチョウ」、「昆虫記 アカボシゴマダラチョウ」、「昆虫記 アオスジアゲハ」、「昆虫記 アゲハチョウ」、「昆虫記 モンシロチョウ」、「昆虫記 キアゲハ」、「昆虫記 アカボシゴマダラチョウ」、「昆虫記 アゲハチョウ」で、サイズはすべて42×33、石膏・黒鉛・木材を使用しています。



右側の壁面です。
堀正明さんの作品です。
左から「しんがしハードスケープ・路傍」で91×150、「しんがしハードスケープ・夜の駐輪場」で91×150、パネル・ケント紙・鉛筆を使用、「日の彼方 a-1」で18.5×25.8、「日の彼方 a-3」で18.5×25.8、「日の彼方 a-2」で18.5×25.8、パネル・和紙・鉛筆を使用です。


入口横の壁面です。
橋本伸也さんの作品です。
左から[Dragon and Island] 110417、[Dragon and Island] 110505、[Dragon and Island] 110506、[Dragon and Island] 110402、[Dragon and Island] 111028、サイズはすべて29.7×21 (A4)、インクジェットプリントです。

以上が展示室の展示で、その他小展示室に橋本伸也さんの作品が3点、事務室壁面に田中正弘さんの作品が2点展示されています。
Setten=接点は約30年ほど前に田中正弘さんらを中心に企画されたグループ展です。
団体に属さず、自由に作品を制作するのが唯一の接点で、メンバーの組み合わせも自由に変えながら続けられているグループ展です。



大塚つとむさんの「フラウア Flower2012-2」です。
ガムプリントは顔料と固着剤(バインダー)を用いて画像を形成する写真技法(Carbon print)の一種で、大正時代に世界的に流行した技法です。
クリアな電球の佇まいがとても美麗な作品です。



「フラウア Flower2012-3」と「フラウア Flower2012-4」。
小さなイスは大塚さん自作のミニチュアです。
サイアノとは古典的な手法で現像した青い写真=青写真のことです。



「フラウア Flower2012-6」です。
フラウアはFlowerの大正時代の表記だそうで、そのせいか、画面全体にノスタルジックな雰囲気が漂っています。
このスカートシリーズ(?)もガムプリント、サイアノの特質を生かした美麗で、ちょっとユーモラスな作品。



田中正弘さんの展示の全体像です。
ピラミッド状に田中版昆虫記がダイナミックに展示されています。



昆虫記の1点です。
田中さんは蝶を採取して、石膏で型を取って作品を制作しています。
今はインターネットの普及等で蝶の収集は容易になりましたが、田中さんは自分で採取したものに限定しています。
右上の型は蝶の鱗粉がそのまま付いたものです。
鱗粉(りんぷん)は蝶の特徴として最も重要なもので、「鱗翅類(りんしるい)」と呼ぶのも、翅に鱗のようなものがあるという意味です。
余談ですが、蝶の鱗粉を取ると、羽はトンボの様な透明になるそうです。



これも昆虫記の1点です。
田中さんは少年時代昆虫少年で、しばらく中断していましたが、近年になって復活したそうです。
昆虫記といえばジャン・アンリ・ファ-ブルですが、田中版昆虫記もそれに負けない内容の深さと見応えがあります。



堀正明さんの「しんがしハードスケープ・路傍」です。
この作品、大分の大きさですが、ケント紙に鉛筆で描かれています。
題名どおり路傍のマンホールなどが描写されていますが、その細密さと、独特な暗さに魅かれます。
染みのような跡は墨汁を使った跡で、これも画面に独特な効果を与えています。



「しんがしハードスケープ・夜の駐輪場」です。
駐輪場の蛍光灯の灯りが、何ともいえない作品。
鉛筆の特質を活かしきった画面で、近づいて見ると細かなスクラッチも見えます。
上の「しんがしハードスケープ・路傍」の墨汁と同様、効果的。



橋本伸也さんの[Dragon and Island] シリーズの1点です。
コンピュータ上で多種のイメージを合成し、インクジェットで出力した作品です。



画面の中央に「Lucky Isalnd」の文字がありますが、これは福島を表しています。
タイトルの[Dragon and Island]のDragonは第五福竜丸の英訳Lucky Dragonから採られています。
Islandは福島の島。
静的で日常的な時間を閉じ込めた美しい作品ですが、全体を覆っているのは震災後の世界です。



フェルメールの画像が見えますね。
細かな文字はジャズの音楽CDのタイトルやクレジットです 。
(レーベルはドイツのECMで、橋本さんの絵画と共通する世界があります。)
橋本さんの日常風景が端正に、色鮮やかに表されています。


四者四様の表現。
それぞれの個性と完成度の高さが上手い具合に接しています。
接点は接展で、美術家同士の接点でもあり、美術家と鑑賞者との接展でもあります。

ご高覧よろしくお願い致します。

2007年市川治之+橋本伸也展

2007年田中正弘藍画廊個展

 

会期

2012年2月6日(月)ー2月11日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内