藍 画 廊



市川治之+橋本伸也展
「ちょっと、そして、まだ」
a moment and still
ICHIKAWA Haruyuki+HASHIMOTO Shinya


市川治之+橋本伸也展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
すべて橋本伸也さんの作品で、左からタイトル「
Winter solstice 0711_1」、「Winter solstice 0711_2」、
「Winter solstice 0710_9」、「Winter solstice 0711_5」、「Winter solstice 0710_10」、
「Winter solstice 0711_3」、「Winter solstice 0711_7」、「Winter solstice 0711_4」です。
橋本さんの作品は、コンピューター出力された平面を額装したものです。



入口横右の壁面です。
左から、「Piscean Dance」、「Equinox」。
以上の二点は橋本さんの作品で、そのうち「Piscean Dance」の石の写真は市川さんの撮影です。
右の立体は市川さんの作品で、「parallax-inc-71116-1」です。



左の壁面です。
すべて市川治之さんの作品で、「parallax-F-21」、
「parallax-F-22」、「parallax-inc-71129」、「parallax-inc-71116-3」、「parallax-IV-15」、「parallax-w-71116-4」、
「parallax-IV-71118-1」、「parallax-IV-09」、「parallax-IV-70916」、「parallax-inc-71116-2」、「parallax-W-08」、
「parallax-W-10」、「parallax-inc-71123」です。
市川さんの作品は、石と金属を使用しています。

画廊内の展示は以上の二十四点で、その他芳名帳スペースに市川さんの作品一点が展示されています。



左壁面の市川さんの作品です。
石と鉄、真鍮が組み合わされた小さな立体です。



同じ左壁面の台座の作品を二点ご覧いただきます。
石と真鍮で制作された作品です。
石は市川さんの住まいの近くの海岸で収集したもので、滑らかな円みがあって、自己主張の少ない石を使用しています。

もたれかかった石と、それを支える金属の角柱。
人と人の関係を想像させます。
男と女、男と男、女と女、親と子、兄弟。
どんな関係でも構いませんが、ある時は石がもたれ、又ある時は金属がもたれて石が支える。
そんな関係の、愛しさ、美しさを表現しているような気がします。
ただし、表現の湿度は低く、作品にはサラッとした軽みと適度な抽象性があります。



四角の鉄枠の中でバランスを取っている石、でしょうか。
石と鉄枠の接点が、ポイントですね。
これも関係を想像させます。

市川さんの作品には、石が浮遊している像が多くあります。
石はある一点で金属と接していて、その支えで、空間に浮かんでいます。
この作品、どんな関係か自由にご想像下さい。



右壁面の橋本さんの作品です。
特製の額に入れられた平面五点です。
平面はコンピュータで画像を合成したもので、多くのイメージが重ねられています。



上の画像の左端から二点です。
(額のガラスに映り込があって、見え難いと思いますが。)
絵具のチューブが、見えますね。
その下には細い文字がビッシリあって、上の方には英字のタイトルと時間のような表記も。



正面壁面の作品です。
この作品も同じコンセプトで制作されています。
やはり絵具のチューブがあって、細かな文字、ロゴのような文字や記号が散見されます。

タネを明かすと、下地の細かな文字は、キングクリムゾン(ロックバンド)のジャケットをスキャンしたものです。
英字のタイトルは楽曲で、ECM(ジャズのレーベルです)のレコードから採られ、時間は演奏時間です。
橋本さんが愛聴したものと想像します。
橋本さんの日常(時間差あり)の空間をコラージュした平面といえますが、そうであれば、絵具のチューブはご自身でしょうか。

ある日の、ある空間や時間を透明なフィルムに転写して、それを重ね合わせて、閉じ込めた。
そんな感じのする、静かで、穏やかな作品です。
空間には、絵もあれば、音もあり、文字や記号もあります。
それらが、ぶつかり合うでもなく、溶け合うでもなく、別個に存在しながら調和している。
市川さんの作品同様、湿度が低く、軽やかさと適度な抽象性があります。


市川さんも橋本さんも、年齢的にはオジさんです。
(わたしもオジさんですが。)
歳を取るとは、それだけ過ごした時間が長いということです。
時間の長さは、作品に現われます。
善かれ悪しかれ、自覚のあるなしに関わらず、現われます。

市川さんの過ごした時間。
橋本さんの過ごした時間。
それが如実に、作品に現われているような気がします。
決して多弁ではない、どちらかといえば寡黙なお二人の作品。
時間の重さを、ほど良い加減で、提出する技量と感性。
投げられた球は、速くも遅くもないが、
その軌道の姿は美しい。
そしてその軌道は、「ちょっと、そして、まだ」続く。

ご高覧よろしくお願いいたします。

市川治之2001年藍画廊個展
市川治之2004年藍画廊個展


会期

2007年12月3日(月)-12月8日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内