藍 画 廊



日比野絵美展
Blur boundary
HIBINO Emi


日比野絵美展の展示風景です。



画廊入口から見て、左側と正面の壁面です。



正面の壁面と右側の壁面です。

以上の6点(組作品有り)で日比野絵美展は構成されています。



左壁面の左3点です。
3点共、作品タイトル「work I」でサイズ30(W)×30(H)cm、紙に墨を使用しています。



左壁面右端の作品です。
「work II」で78.3×60、紙・アクリル絵具を使用しています。



正面壁面の作品です。
「work III」で105.5×86、紙・アクリル絵具を使用しています。



右壁面の組作品です。
「work IV」で、50×50×5 枚組、紙に墨を使用しています。



「work IV」の左端の作品です。



日比野さんは大学で版画を専攻して、版画の作品を制作してきました。
前回の藍画廊の個展も銅版を用いた作品でした。
今回も一見すると版画のように見えますが、手描き(ドローイング)の作品です。
左壁面の右端の作品のクローズアップをご覧下さい。



近づいて見ると、版画とは微妙に異なる手描きの描画であることが分かります。
日比野さんの作品に対する考え方は、個々の作品が作り出す、場、空間といったものを重視しています。
その考え方からいけば、特に版画にこだわることはありません。
必要に応じて、必要な方法、形式を採用すれば良いことです。

六角形(ヘキサゴン)が規則正しく並べられた画面。
算盤の玉のようにも見えますが、この六角形自体には特別な意味はないと思います。
意味があるのは、ある形が規則正しく、しかし微妙に異なって、整然と並んでいることでしょう。
色もしかり、です。
墨の黒とアクリルのダークグレーと青みがかったグレー。
これも、意味よりも、空間や場から導きだされた色合いだと思います。

なぜ、わたしがそう思ったか。
それは前回の個展同様、日比野さんが画廊という空間、場を重視しているからです。
それと個々の作品の関係性、それを大切にしているからです。
例えば、画廊の中央に立って、全体が見渡せるよう、正面の壁面の方向に向きます。
そうすると、個々のミニマルな平面作品は一つの作品であると同時に、場、空間を作り出す要素としても表れてきます。
この経験は新鮮です。

作品は平面です。
しかしこの展覧会を平面の展示というのは、ちょっと違うような気がします。
では、インスタレーションか。
これも違います。
個々の平面と場、空間がイーブンの関係にある展示。
苦し紛れの形容ですが、この展覧会を言い表すとそのようになるかと思います。

不思議なのは、かなり計算された展示にもかかわらず、堅苦しさがないことです。
開放的で、大らかなのです。
そして、潔(いさぎよ)い。
整然とした開放感、あるいは、適度な緊張感を持った心地良さ。
そんな感覚に浸る喜びが、この場、空間にはあります。

画廊という特殊な空間を逆手に取ったような、もしくは、そういう空間だからこその、展示、構成。
そこに息づいているものこそ、日比野さんの表現そのものだと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。

2011年藍画廊個展

 

会期

2012年1月23日(月)ー1月28日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内