藍 画 廊



洲崎正隆展
SUZAKI Masataka


洲崎正隆展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「作品 020」で、サイズ32(H)×25(W)cm、「作品 030」で31×18×13、「作品 029」で15×16×12、「作品 019」で10×18×7です。



正面の壁面です。
左から「作品 028」で5×9×7、「作品 026」で46×100です。



右側の壁面です。
左から「作品 024」で11×10×6、「作品 025」で10×10×10、「作品 016」で14×6×5、「作品 023」で11×19×3、「作品 017」で21×7×4、「作品 022」で19×15×4です。



入口横の壁面です。
「作品 027」で177×9×11です。

以上の13点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の展示があります。
作品の素材は個々の作品紹介で記します。



左壁面の「作品 020」です。
フェルト・ウレタン樹脂・アクリルメディウム・アルミ粉を使用しています。
おおまかに説明すると、フェルトをハサミで小さく切り、それをウレタン樹脂で任意に繋ぎ合わせ、アルミ粉で仕上げた作品です。
今回の展示は、樹脂という素材が大きな役割を担っています。
作品の形態、形式は異なっても、樹脂の特質を活かした制作が為されています。


左壁面「作品 029」です。
発泡ウレタン・樹脂・パール粉を使用しています。
作品は、モチーフやイメージのない状態から作り始めます。
偶然に任せながらカタチを作っていって、最終的にカタチを決めます。
パールの光沢が形態を際立たせている、作品。



左壁面「作品 019」です。
フェルト・ウレタン樹脂・アクリルメディウムを使用しています。
フェルトの自然なカーブ(湾曲)をそのまま活用した作品で、際(きわ)の着彩は色鉛筆です。



正面壁面の「作品 026」です。
フェルト・FRP・ウレタン樹脂・ガラス・アクリルメディウムを使用しています。
今までの洲崎さんの作品の延長線上にある、平面的な表現です。
海岸で拾ってきたような美しいガラス片と、色鉛筆によるぼかしが印象的。



右壁面の6点の連作のうち「作品 025」と「作品 017」です。
「作品 025」はアクリルスティック・ウレタン樹脂・蛍光顔料を使用、「作品 017」はアクリルスティック ウレタン樹脂 アクリル絵具を使用しています。
この連作の作品もパール光沢の作品同様、モチーフやイメージを持たず、成り行きでカタチを作っていって、最終的に形態を決めています。



入口横壁面の「作品 027」です。
発泡ウレタン・樹脂・アクリルメディウム・パール粉を使用しています。
この作品は、他の作品と異なる印象を受けます。
宗教的なシンボルを連想させるようなカタチにも見えます。



洲崎さんの作品、形状が大きく変わりました。
今までも平面に立体の要素が加わったような作風でしたが、今回は立体に大きく傾いています。
素材も前述したように、樹脂がメインとなって作品が作られています。
作品の質感、マチエールに固執する志向は変わっていませんが、樹脂という素材の持つ変幻(?)な要素に魅入られたようです。

前回個展の紹介文の最後に、わたしは「是非画廊で、その固有な作品の存在感と、色と形の戯れを味わって下さい。」と書きました。
それは今回も同じです。
画廊に何回も足を運んで、画廊という空間を把握する。
そこから洲崎さんの制作が始まります。
そして、空間と作品が一体になった構成として、最終的に作品は提示(展示)されます。
その見事な一体感は、現場でしか見ることが出来ません。

ツルンとした質感、マチエールは継承されていますが、今回、色は後退し、形が前面に出てきました。
形は以前にも増して、偶然性を意識的に取り入れています。
最終的な形態は作家の意志で決定されますが、プロセスにはあまり関与しません。
偶然性は、一種の戯れ、遊びと言い換えられます。

遊びにとって重要なのは、その過程です。
どう転ぶか分からない、その不確実性や意外な展開が、遊びの本質です。
(それが分かっていたら、誰も遊びなどしないでしょう。)
洲崎さんは、カタチを偶然という遊びに委ねて、制作を続けます。
遊びが生む、プロセスの意外性や固定観念を逸脱した展開に任せながら。

遊びは、視点の変換という事態を生むことがあります。
思ってもみない、モノの見方や接し方のことです。
これは作品というものの本質でもあります。
つまり、遊びと作品とは近しい関係にあるのです。
そこに洲崎さんの表現の面白さがあります。

ともあれ、樹脂という遊び道具を手に入れた洲崎さんは、遊びます。
遊んで、カタチに何かが見えたとき、一つの形態として決着をつけます。
それは物質としての作品であり、モノの見方としての作品です。
現場という場で、洲崎さんはわたしたちにも参加を呼びかけています。
見るという、楽しい遊戯に。

ご高覧よろしくお願い致します。

2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2009年藍画廊個展

 

会期

2010年10月25日(月)-10月30日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内