藍 画 廊



洲崎正隆展
SUZAKI Masataka


洲崎正隆展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左の壁面です。
左から、作品サイズ21.5(H)× 30(W) × 2(D)cm(木製パネル に アクリル)、21 × 26.5 × 1(アクリルパネル に アクリル)、21 × 42 × 3(木製パネル に アクリル)、26 × 36.5 × 2(木製パネル に アクリル)です。



正面の壁面です。
72.7 × 100 × 3(木製パネル に アクリル)です。



右の壁面です。
左から、24.5 × 34 × 2(木製パネル に アクリル、ガラス)、21.5 × 30 × 2(木製パネル に アクリル、ガラス)、14 × 60 × 2(木製パネル に アクリル)、9.5 × 34.5 × 2(木製パネル に アクリル)です。



入口横の壁面です。
46 × 53.5 × 2(木製パネル に アクリル)です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に3点、事務室壁面に1点の展示があります。



左壁面の左端の作品です。
作品は厚みがあり、側面までペイントされていて、画面全体に光沢があります。
その光沢のある質感は展示作品に共通していて、ツルンとした薄い立体のような平面作品、とでも形容できるでしょうか。



左壁面の作品で、木製パネルにアクリル絵具を使用していますが、全体が厚いアクリル板のように見えます。
ストライプに色の濃い部分がありますが、単純な塗り分けではなく、(詳しい過程は省きますが)偶然性を利用しています。



同じく左壁面の作品です。
中央の紺色の部分は鏡のような光沢で、正面に立つと姿が映ります。
制作過程は、木製パネルに薄いアクリル絵具を何回も何回も塗って、その都度細かいサンドペーパーで表面を均(なら)します。
その気の遠くなるような作業の繰り返しと、表面の透明なメディウムで、鏡のような光沢のある表面になります。
(木製パネルではなくアクリル板を使用した作品もあります。)



制作の出発点となった作品で、最も絵画(平面)作品らしい作品です。
全体を占める黄色と両サイドの緑の比率が絶妙で、特に右端の微かな緑が作品のポイントになっています。



右壁面の作品です。
木製パネルにアクリルとガラスが使用されています。
ドットの部分がガラスと思いますが、平面の色の濃淡とドットの色の対比、立体のような仕上げが目立つ作品です。



同じく右壁面の作品ですが、小立体のような作品です。
分割された画面に、遊び心が潜んでいます。



入口横壁面の作品です。
正面壁面の作品と対になるような画面で、黄系と緑のバランスが美しい作品。
この画像では分かり難いのですが、表面の光沢が色と形に大きな影響を与えています。



小展示室の作品(22.5 × 27 × 2/木製パネル に アクリル)です。
個人的には最も好きな作品で、光沢のある質感と単純な線描がマッチしていて、とても和める作品。
作家の秀でた感性が自然に表れた作品だと思います。
(表面の光沢で反射があるので斜め横からの撮影ですが、若干の映り込みがあります。)

画廊には洲崎さんの記したテキストがありますので、全文を転載いたします。

無機質にみえる画廊空間にも、なにか固有の気配を感じる。
展示された作品はサイト・スペシフィックな環境として存在し、画廊空間の場合はホワイトの壁面を前提とした作品となるが、今回は全体をまとめることよりも個々の作品に表情をもたせた。
無秩序な単体作品がどのような関係をたもち、相互依存をみせるか試みる。

対象を単純化して認識するプロセスは、複雑な外部刺激をひとつのチャンク(情報のまとまりの単位)として集約し、記憶する認知メカニズムと関連するのか。安寧な日々の出来事に埋没するなかで、作品は非日常の場としての空間の有用性を問う。
アートという「虚」の世界において五感に作用するモノの存在を体感し、またその外側にある不可視の領域を感じることは出来るだろうか。




洲崎さんの光沢のある画面には、刷毛が使用されていないそうです。
左官が使う金属のコテのようなもので、薄く丁寧に塗っていくそうです。
この制作手法に、洲崎さんと絵画(平面)との距離が端的に表れています。

筆や刷毛で描くことを拒否し、塗装のような手法を選ぶ。
描く必要がある部分は、水性の色鉛筆を使用して描く。
確信犯的に絵画から遠ざかりながら、しかしそれは絵画を否定しているわけではありません。
自身の固有の表現として、絵画は洲崎さんの作品の中に存在します。

洲崎さんの作品を見て印象的なのは、色や形の位置の不確かです。
何層にも塗られて画面の中に、色や形は確実に存在していますが、その位置、場所が不確かです。
喩えれみれば、パソコンやテレビのモニターのようで、定着性に欠けているように見えます。
しかし、その不確かさと(モニターにはない)絵画性が、洲崎さんの作品の優れた特質です。

物質性を主張しているかのような、表面の光沢。
あたかも立体であるかのような厚みと装い。
それらは作品の形式に対する批評ではなく、自己の表現へのこだわりです。
つまり、形式の問題ではなく、どのような形を採ったら世界と対峙できるかという試行の、結果です。

最後にご覧いただいた、小展示室の作品をもう一度ご覧下さい。
この作品を画廊で見ていただければ、その表現の固有性と形式の必然性がご理解いただけると思います。
(もちろん、人によっては、他の作品にそれを感じる場合もあります。)
ともあれ、洲崎さんの作品の質感は、わたしの撮影した画像では充分に表現されていません。
是非画廊で、その固有な作品の存在感と、色と形の戯れを味わって下さい。

ご高覧よろしくお願いいたします。


2004年藍画廊個展
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2007年藍画廊個展


会期

2009年11月23日(月)-11月28日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


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