藍 画 廊



菊池絵子展
KIKUCHI Nuiko


菊池絵子展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「向かいの窓(鳩)」(紙・インク)で、作品サイズ420(H)×297(W)cm、

「公園の時計」(紙・インク)で、148×100cm、
「虎の穴」(紙・鉛筆)で、202×241cm、
「北の海(イッカクの群れ)」(紙・鉛筆)で、270×392cm、
「池底から見るボート」(紙・インク)で、127×182cm、
「プール」(紙・鉛筆・色鉛筆)で、297×210cm、
「ハレー彗星」(紙・色鉛筆)で、150×150cm、
「ベランダ」(紙・鉛筆)で、216×311cmです。
画像には写っていませんが、向かいの窓(鳩)」の左に「オーロラ」(紙・色鉛筆)、150×150cmがあります。


入口横右の壁面です。
左から、「洗濯物の配置2」(紙・鉛筆)で、297×420cm、
「南極(ペンギンの行進)」(紙・インク)で、366×263cm、
「飛行機」(紙・インク)で、148×100cmです。



左の壁面です。
左から、「虹」(紙・インク)で、270×380cm、
「玄関先」(紙・鉛筆)で、420×297cm、
「オリオン座」(紙・修正インク)、150×150cm、
「公園/ベンチ」(紙・鉛筆)で、297×210cm、
「足跡」(紙・鉛筆)で、257×182cm、
「守宮」(紙・インク)で、363×257cm、
「海亀」(紙・鉛筆)で、153×107cm、
「向かいの窓(夜)」(紙・インク)で、420×297cmです。

以上の二十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点の展示があります。



菊池さんの描く被写体を大別すると四つに別れます。
天体、動物、風景、ベランダと窓です。
上の二点は天体で、虹とハレー彗星です。
思い切った省略に見えますが、特に省略しているわけではありません。
そこに紙があって、ペンや鉛筆もあった。
それを使って、何気なく描いたのが、上の二点です。


次は動物です。
海亀とペンギンの行進です。
ルーズリーフやワイヤーで綴じてあるノートに、鉛筆やペンで描いてあります。
誰にでも憶えがある、イタズラ書きのようです。



今度は風景です。
玄関先と公園/ベンチです。
日常でよく見かける光景ですね。

これは確かな筆使いと構図です。
しかしコンセプト(絵を描く概念)と用具は同じです。
それについては後述します。



プールと飛行機です。
菊池さんとしては、珍しくカラフルなプールの光景ですが、板や足が(文字通り)浮いているのが、面白い。
飛行機は、空が紙一面だとしたら、飛行機は、この大きさでしょうね。



最後は、ベランダ、窓シリーズです。
菊池さんの得意とする描写で、左は塗りがメインで、右は線描だけで、日常の一コマを描いています。
ここにあるのは、少しだけ目を惹く、窓とベランダの風景です。
ドラマはないが、少しだけ目を惹く、日常の風景です。


ほとんどの人が、文字を書くことができます。
昔は文字を書けない、読めない人がいましたが、今は義務教育の所為で読み書きができます。
それと同じように、ほとんどの人が絵を描くことができます。
こちらは教育を受けなくても、描くことができます。
上手い、下手の違いはあっても、描くことはできます。

さて、絵を描くこととはどういうことなのでしょうか。
その前に、絵を描くイコール美術と考えないで下さい。
授業中のイタズラ書き、電話中の何気ないドロー、友人に自宅を教える地図。
それらも、みんな絵です。

絵とは、その人が見ているものを描くことです。
だから見ていないもの、必要のないものは描かない。
全部描くことは不可能ですから、見ているものを中心に必要なものだけ描く。
そうですね。
見ているものとは、現実の風景だけではなく、空想の風景も含まれます。

歴史的な絵画ではなく、個人の中の絵の歴史を辿れば、それらが原初の絵になります。
今は美術家と呼ばれる人でも、最初に描いた絵は、そのようなイタズラ書きの類いです。
地図のような用途があるものを除けば、どうして人は絵を描くのでしょうか。
そのような疑問に触発されて、菊池さんは絵を描いている、とわたしは推測します。

しかし、菊池さんはプロの絵描きです。
用意周到に、原初の絵を描いています。
用紙の選択から筆記具まで、隙がありません。
(原初の絵は隙があって当然ですから、そのように隙を作ることに、隙を見せません。)
展示された作品は、紛れもなくプロの美術家の作品です。

菊池さんの絵には、楽しさがあります。
その楽しさは、ちょっとした楽しさです。
自分が自分だけで楽しむような、ちょっとした楽しさです。

その楽しさの一部に、紙の扱いがあります。
海に浮かぶ海亀やイッカク、氷原を行進するペンギン、空を飛ぶ飛行機。
そこでは、紙は海であり、氷原であり、空です。
紙でありながら、海、氷原、空です。
それが顕著に出ているのが、プールの絵やボートの絵です。
ポッカリ浮いた足や板やオール。
紙は、水面そのものとして存在しています。

菊池さんの絵は、美術に王道があるとしたら、脇道、裏道です。
神を讚えるわけでもないし、人間の苦悩を描いているわけでもありません。
しかし、考えてみて下さい。
王道ができる前は、みんな脇道、裏道だったのです。
いや、それらは脇道、裏道ではなく、ただ道と呼ばれるものでした。

道を歩きたい。
そう思って、菊池さんは絵を描いていると思います。



ご高覧よろしくお願いいたします。

2007年藍画廊個展



会期

2008年2月11日(月)-2月16日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


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