藍 画 廊



葛生裕子展
KUZUU Yuko


葛生裕子展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
二点共作品サイズF80で、キャンバスに油彩です。



入口横右の壁面です。
左から、F20、F50で、キャンバスに油彩です。



左側の壁面です。
左から、F80、F10で、キャンバスに油彩です。

以上の六点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示があります。



左壁面の作品です。
一見風景に見えますが、風景がモチーフではありません。
モチーフがない、白紙の状態でキャンバスに向かい、絵を作り上げていきます。



同じく左壁面の角に展示された小品です。
上の大作と雰囲気が似ていますが、小品らしい密度の濃い画面です。



正面壁面の作品です。
モノクロームに近い画面ですが、絵画の、構図、色彩が定まっています。
優れた画家の仕事、です



最初期の葛生さんの平面はモノクロームで、その次の時期には、赤一色の平面を描いていました。
当時の赤を思い出しますが、よりニュアンスが豊かで、空間にも奥行きがあります。



入口横右壁面の二点です。
連作ではないと思いますが、同じような色相の二点です。
展示作品に共通するのは、天地を二分するラインがあることです。
そのライン上下で、空間の在り方が異っています。


葛生さんの作品は、絵画です。
今どき珍しいともいえる、本格な絵画です。
本格的な絵画に相応しく、真正面から絵を描いています。
逃げのない、力量のある絵画です。

葛生さんの作家歴を振り返ってみれば、当初からストレートな作風でした。
力を感じさせる、平面、絵画を描いていました。
小技というものがなく、キャンバスやパネルに正面から挑んでいました。
その姿勢は今でも変わりませんが、表現に、潤いや繊細さを感じさせるようになってきました。
それは力を殺ぐことではなく、力そのものの質を変えているように思えます。

絵画とは、突き詰めていえば、色彩と形(構図)になります。
たったそれだけですが、色は無限ですし、形も無限です。
当然、その組合せも無限です。
その中で、作家は苦しみながら、唯一を模索します。

絵画の主流がストレートではなく、変化球になったのは前世紀の終り頃です。
それは時代というものの所為で、善し悪しの問題ではありません。
そういう変遷がなかったとしたら、現代美術は死に絶えていたでしょう。

葛生さんの絵画は本格で、ストレートです。
しかし、時代遅れではありません。
時代の只中ではありませんが、時代というものを確実に見据えています。
そのような絵画が存在し続けなければ、これも又、現代美術は死に絶えてしまうでしょう。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2000年藍画廊個展
2001年藍画廊個展


会期

2007年11月5日(月)-11月10日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内