藍 画 廊



北村康世展
「生命ジャンク」
KITAMURA Yasuyo


北村康世展の展示風景です。



画廊の展示空間全体にぶちまけられた、プラスティックの廃材とアルミダクト。
おおよその作品サイズ(インスタレーション)は1900(H)×4750(W)×2800(D)mmです。



アルミダクトに絡みつくように展示されているプラスティックの廃材は、多種多様にわたっています。
食品、洗剤、入浴用品等々、わたしたちが日常で消費している製品の容器、包装です。
北村さんが一年間にわたって溜めた(捨てないで取っておいた)プラスティックです。

アルミのダクトは、北村さんのトレードマークともいえるマテリアルです。
そのうねるような躍動感は今回も健在で、プラスティックと見事に合体しています。



プラスティックが普及する前の容器や包装は、主にガラスや紙だった覚えがあります。
それらは家庭で再利用されるか燃されて、ゴミとして出されることがありませんでした。
今、プラスティックの廃棄、再利用は自治体の仕事になっています。




ご存知、ママレモンです。
プラスティックが普及した理由は、加工が容易で丈夫かつ軽量、そして安価だったからです。
着色も自由自在で、カラフルな容器や包装を生みだしました。


プラスティックは大量消費生活を支えた資材です。
使い捨ての部材として、広く用いられました。
プラスティックは、その性質上、生分解性がなく土に還ることがありません。
これが環境汚染や景観に悪影響を与えるとされています。

しかし、考えてみれば分かることですが、悪いのはプラスティックではありません。
わたしたちの生活の基礎をなしている、大量消費、大量廃棄にこそ問題があります。
それを促す市場経済にことの本質があります。

北村さんの作品を見ていると、どこかに、プラスティックへの愛を感じます。
愛(いと)おしさを、感じます。
この世に産まれたのにもかかわらず、用が済むと簡単に捨てられ、放置されるプラスティック。

北村さんの作品には、これらのプラスティックを再生したいという願いがあるように思えます。
それは環境汚染や景観の為だけではなく、産まれたものへの慈しみです。
その慈しみ方は、あのトニー・クラッグのプラスティック作品とも違います。
ジャンクをジャンクとして、深く愛するやり方です。

ご高覧よろしくおねがいいたします。

2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展


会期

2007年10月8日(月)-10月13日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内