藍 画 廊



新世代の視点2006
塩入由美展
SHIOIRI Yumi


東京現代美術画廊会議(銀座、京橋地区の十の画廊)は、1993年より「-画廊からの発言- 新世代への視点」を主催してまいりました。
2006年展の藍画廊の展示は、塩入由美さんの平面作品です。

展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

左から、タイトル「ふとん・1」で、作品サイズ116.7(H)×116.7(W)cm、
「ふとん と たたみ・2」で、38×45.5
cm、
「ふとん と たたみ・1」で、38×45.5
cmです。
入口横右の壁面です。

「ピンクの枕」で、72.7×91cmです。
左側の壁面です。

左から、「ふとん と たたみ・3」で、
72.7×60.6cm、
「ふとん・2」で、116.7(H)×116.7(W)cmです。


画廊内の展示は以上の六点で、その他道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品はすべてキャンバスに油彩です。



左側壁面の
「ふとん と たたみ・3」です。
見て驚くのは、グリーンの布団(カバー)の色彩と質感です。
上の画像では、色彩と質感が充分に再現されていません。
もっと深みのある色で、布団の柔らかさが、何ともいえない質で表現されています。
敷布団の上に無造作に重ねられた掛布団と枕。
とある日常のワンカットです。


正面壁面の「ふとん・1」です。
これも敷布団、掛布団、枕の組合せですが、視点が違っています。
「ふとん と たたみ・3」とは違う日の、光景と思われます。




入口横右壁面の「ピンクの枕」です。
布団のグリーンで驚きましたが、このピンクの色彩、質感も飛び抜けています。
この作品も是非画廊でご覧下さい。


右壁面の「ふとん と たたみ・2」です。

塩入さんの作品の特徴である、クローズアップされた日常のモノです。
この作品だけ見ていると、上半分のグリーンが何であるか、分からないと思います。
見慣れたモノをクローズアップさせて、それと他のモノの関係性を探る作品です。
この作品では、布団と畳がそれに当たりますが、俯瞰が面白いですね。


塩入さんの絵画は、ちょっと古くさい描き方に特色があります。
色合いとタッチです。
一時の「ガロ」というマンガ雑誌を思い出させる、描画法です。
モダンではないのですが、今の時代の空気を感じさせる絵画です。

塩入さんは、部屋探検隊ともいえる人で、部屋の内部の風景を専ら描いています。
本人もおとなしい方で、部屋で夢想している光景が容易に想像できます。
その夢想している様は、とても自由で、既成概念からは解き放たれています。
静かな思索は、穏やかな画面に表れています。

塩入さんの作品には、布をモチーフにしたものがあります。
タオルとカーテン、そして今回の布団と枕です。
多分、布の色合いと質感が好きなんでしょう。

作品紹介の冒頭に書きましたように、今回の布団と枕の描写には驚きました。
ビビッドな色彩と包み込まれるような軟らかな質感。
眼と肌で見る、絵画です。

バック(背景)はいつものように、和風の壁と畳。
これが洋風の壁やベッドであったら、作品の面白さは半減します。
和風の壁と畳だから、とっても良いのです。

つらつらと感想を書き連ねてきましたが、塩入さんの作品には通常にはない深さがあります。
その深さを、上手く表現できる術(すべ)がわたしにはありません。
塩入さんには、何気ない日常の潜む深さを見る眼と手があります。。
描かれた日常風景は個人的ですが、わたしの心を揺さぶる何かがあります。
それは、真直ぐな視線の所為かもしれません。
もしそうだとしたら、それはとっても貴重な、真直ぐな視線です。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2002年藍画廊個展
「美」と「術」2003展
2004年藍画廊個展

新世代への視点2006Webサイト


会期

2006年7月24日(月)-8月5日(土)

日曜休廊

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内