塩入由美展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左から、 タイトル「押し入れ・1」で、 38×45.5cm。 「押し入れ2」で、 38×45.5cm。 「押し入れ3」で、 38×45.5cmです。 |
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右側と入口横右の壁面です。 左から、 「窓とカーテン」で、 53×45.5cm。 「カーテンとコンセント」で、 72.5×61cmです。 |
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左側の壁面です。 左から、 「押し入れとコンセント」で、 91×116.5cm。 「スイッチ・1」で、 18×14cm。 この画像には写っていませんが、入口横左の壁面に、 「スイッチ・2」22.5×16cmがあります。 |
画廊内の展示は以上の八点で、この他道路側ウィンドウに「青いカーテンの部屋」27.5×22cm。が展示されています。
作品はすべてキャンバスに油彩です。
作品を何点かピックアップしてご覧いただきます。
左側壁面の「押し入れとコンセント」です。
和室であれば、どこでも見られる景色ですね。
他の作品もそうですが、特定の部屋を想起させるものはここにはありません。
にもかかわらず、抽象的ではなく、具体的な部屋のように見えるのが塩入さんの作品の特色です。
「押し入れ」と「コンセント」の共通点は、この居住空間と接し、補完しあっているモノです。
居住空間が主とすれば、従の関係で繋がっているモノです。
「押し入れ」だけしかない家はありませんし、「コンセント」も部屋に備え付けられて初めて用をなすものです。
でも、(和室で)布団があれば「押し入れ」がないと不便で、住居としては使い難いものです。
又、空間を区切るもの(パーティション)とその内外の関係に、塩入さんは関心があるようです。
シンプルな小品「スイッチ・2」です。 このスイッチは照明用に見えますね。 あるいは、トイレの入口ですと上は換気扇だったりします。 このスイッチを押すと、裏側のケーブルに電気が伝わって(繋がって)、電灯が点いたり消えたりします。 |
次は正面の壁面の押し入れシリーズ三点です。
天袋と押し入れ、押し入れと棚と布団、押し入れとコンセントです。
押し入れが、すこ〜し開いているのがミソです。
このシリーズは面白いですね。
中央の作品を大きくしてみましょう。
ちょっと開いた押し入れと、チラッと見える布団。
景色の切り取り方が絶妙です。
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塩入さんには「美」と「術」2003展に参加いただいています。 その時の作品モチーフはカーテンでした。 今回もカーテンの作品が三点ありますが、これは右側壁面の「窓とカーテン」です。 カーテンの描き込みに比べて、窓の簡略化が目に付く作品です。 |
果たして、塩入さんは何故このような景色を描くのでしょうか。
疑問に思う方がいらっしゃると思います。
好きだから?
楽しいから?
多分、塩入さんはこのような景色を描くのが好きで、楽しいと思います。
それ以上に重要なのは、このような景色そのものに塩入さんは世界を観ていることです。
関係で成り立っている世界を観ていることです。
(そして、その不思議さが好きで、描くことが楽しいんでしょうね。)
それにしても、独特の空間構成と色感ですね!
景色の表情もユニークで、描き込みと省略のバランスも個性的です。
負けました。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2002年藍画廊個展
EXTRA
塩入さんの作品を観ていたら、画廊内のコンセントに目が行きました。
左側の壁面の右下に、白く塗られてヒッソリとソレはありました。