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『Windows Vista』


わたしのメインコンピューターはMacで、iGalleryもMacで制作しています。
その他に、もう一台コンピューターを所有していて、週に一度仕事で使っています。
こちらは通称AT/PC互換機と呼ばれていて、一般的にはWindowsが載っているコンピューターのことです。
それにWindows XPとGNU/Linuxを入れています。

わたしのMac歴は十年を超えていますが、Windowsは98を少し齧(かじ)り、XPを三年ほど使っています。
XPは結構使いやすいOSで、コアなユーザーに評判の悪いグラフィックも、さほど気になりません。
個人的には98のグラフィックよりはベターですし、OSの安定度が格段に上です。

そのXPが五年ぶりにアップデート。
Vistaの登場です。
さてどうするものかと思案していましたが、結局インストールすることにしました。
問題は、費用です。
週に一度しか使わないので、できるだけ安価に済ませたいものです。

VistaのセールスポイントはAero(ベースのグラフィック)で、それを発揮できるのはHome Premiun版以上です。
定価が28,000円ほどです。
さらに、WWWで動作環境を調べると、(わたしの機器は)メモリとグラフィックカードが不適格です。
増設と交換が必要で、まともに購入したら全部で優に50,000円を超えてしまいます。

ここで又思案して、OSはOEM版(パーツと一緒に購入するバージョン)で、メモリとカードはノーブランド及び最低価格のモノを選ぶことにしました。
予算は25,000円。
発売日の翌日が休日で、午前中に用事を済ませ、近所のパソコンショップに足を運びました。

わたしがコンピューターで遊んでいて、何が一番楽しいかといえば、OSのインストールです。
これが最も興奮します。
インストールが終わって再起動し、デスクトップが現れる瞬間。
ワクワク度が、最高に達します。

変わった趣味といえば、これほど変わった趣味もありません。
ま、世間に顔向けできない趣味ですね。
それでも楽しいので、Macの場合などは、メージャーアップデートの度にパッケージを買っています。

ショップでは、とりあえず店員にVista(Home Premiun)をクリアできるグラフィックカードを訊ねました。
地方のショップですから、秋葉原のような品揃えではありません。
その中で、サクサク動いて安いモノを探してもらいました。
ところが、サクサク動くとなると、15,000円ぐらいしてしまいます。
(わたしの機器がAGPという規格の所為もあって。)
一応動くモノでも、6,000円前後。

ふと、売場の隅を見ると、ビニールに包まれたバルク品が目に留まりました。
バルク品とは、保証のない闇製品のようなもので、ハズれるとまったくの無駄になります。
価格は3,980円。
店員に訊ねると、イマイチな表情。
サクサク動くは却下し、少なくとも動くに方針を変更して、購入を決意しました。

メモリはノーブランドで512MB、動作保証を付けてもらって、5,480円。
Home PremiunのOEM(簡易パッケージに小冊誌付き)が17,000円で、しめて27,000円。
予算を2,000円オーバーしましたが、ここは秋葉原ではないので、納得して家に帰りました。
しかし、バルク品の包装は怪しいですね。
グラフィックカードもメモリも、チープなピンクのプチプチビニールに包まれているだけですから。
その怪しさも、楽しいといえば楽しいのですが。



Vistaのデスクトップ画面です。
デスクトップの画像は、OSに入っていた地味で趣味の良い写真で、ガジェットの種類と位置はデフォルトから変更しました。
(このデスクトップ画面からVistaのグラフィックを想像しないで下さい。もっともっとハデハデです。)
インストールに要した時間は30分ほど。
DVDのインストールは、速いです。
グラフィックカードもメモリも、問題なく使えました。

XPでの環境の再構築で、前夜CDにバックアップした仕事のデータをコピーしたら、重大なミスに気が付きました。
最後にバックアップしたメールデータに、すべてが上書きされていました。
半年分の仕事のデーターが飛んでしまいました。
もう後の祭りですが、データーのほとんどはプリントアウトしているので、自分を慰めました。

ともあれ、Vistaを使った観想を書いてみます。
Windowsのグラフィックがダサいのは、致し方ありません。
ビル・ゲイツを見れば分かるように、センスがないのです。
そのようなものに、金をかける意志がないのです。
MacOSXのAquaが美しいのは、スティーブ・ジョブズのセンス以前に、お金をかけているからです。

よって、VistaのAeroも予想通りで、テーマカラーの赤緑青黄のオンパレードです。
それと中途半端な透明なウィンドウ枠もあって、眼がチカチカしてしまいます。
(喩えてみると、郊外の大型電器店の店内を数時間歩いていたような感覚と疲労です、)
セールスポイントのフリップ3Dも、別にどうってことはありません。
ガジェットも、OSXではとうの昔に実現されています。
(セキュリティは強化されていますが、XPのSP2とほぼ同じです。)

つまり、ブランニューな機能や美しさは皆無ですが、それでインストールを後悔しているかといえば、まったく後悔していません。
それが趣味ですから、時間とお金をかけても、楽しいのです。
XPの時と比べると、メモリを増設してグラフィックカードのグレードを上げたにも関わらず、動作は若干鈍くなっています。
現在XPで、それに不満のないユーザーは現状維持の方が宜しいかと存じます。

Windowsのもともとの構成や機能は、わたくしのようなシロートがみても、水準以上だと感じます。
MacOSやGNU/Linuxと比べて、どちらが劣っているとはいえません。
上に被さるGUIも、趣味の問題といえば、趣味の問題です。
つまり、基本的な部分に関しては、どのOSも成熟しています。

問題なのは、シェアが大きくWindowsに傾いていることです。
それでもって、このAeroです。
眼がチカチカしてしまう今の世の中と同じで、これがいつの間にか普通で、違和感がなくなってしまうことです。
(Vistaのパッケージを購入するのはごく少数で、プリインストールのコンピューターのユーザーがほとんどですから。)
センスとか美意識とかではなく、普通(スタンダード)の基準が落ちる一方だと思いました。

Vistaを数時間使っていたら、あのチカチカする携帯電話が頭に浮かんでしまいました。
便利になっても、普通(スタンダード)は、確実に退歩していますね。