博物館や美術館には少なからぬ建設費と維持費のかかります。
今の時代それが必要かという議論の末、山梨県立博物館がオープンしました。
「かいじあむ」と名付けられた県立博物館、わたしの住居のすぐ近くです。
「かいじあむ」のエントランスです。
向かって左側に常設、企画の展示室があります。
右側は研究、事務のスペースです。
エントランスに池を配した(現代では)オーソドックスな造作で、建築そのものも定番的な設計です。
面白みには欠けますが、すぐには陳腐化しないデザインと言えるかもしれません。
特徴的なのは右側にある竹林で、それが建築のアクセントになっています。
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竹林の前にあるサインです。 「かいじあむ」の開館記念企画は「やまなしの道祖神祭り」です。 「どうそじん・ワンダーワールド」というプレタイトルと展覧会名の装飾文字に、親しみやすさを目指す博物館側の意気込みが感じられます。 |
山梨は道祖神信仰の盛んな地域で、しかも道祖神祭りのあらゆる類型が存在しているそうです。
わたしが近所を散歩していても、丸石や石の祠の道祖神をよく見かけます。
道祖神とは「ボーダー(境界)の神」で、道と深く関わっています。
此処と他所、日常と非日常のボーダーを司る神様です。
この信仰の起源は、百済(朝鮮)の古代都城祭礼にまでさかのぼることができます。
その所為か呪術的色彩の強い祭りで、展示物にもそれが表れています。
又、盛大だったという甲府城下の道祖神祭の幕絵(巨大な絵巻が町に廻らされたような華やかさだった)の展示にも想像力を掻き立てられます。
開館記念に相応しい企画展です。
常設は山梨の自然と人をテーマに、AVや体験型の展示が為されています。
ビデオ、音響、ジオラマ等を駆使した立体的なもので、企業ミュージアムや万博のパビリオン的展示です。
良くも悪くもゴチャゴチャしていて、従来の博物館の展示とは異なっています。
親しみやすさと楽しさがありますが、少し詰め込みすぎたきらいがなきにしもあらず、です。
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観賞の後は、ミュージアムショップとレストラン。 これも最近の美術館、博物館の定番ですね。 オープンスペースもある「かいじあむ」のレストランです。 |
わたしは美術館には普段お世話になっていますが、博物館はあまり行ったことがありません。
「かいじあむ」、なかなか良いです。
地元ということもあって、展示に親近感があり、興味をもって歴史に接することができました。
しかも力の入った企画と常設で、入館料が500円。
税金の使い道としては、納得できる内容と施設です。
展示を見終わって、エントランスまで戻ってくると、池には秋の空と雲が。
長い夏も終わって、すっかり秋本番ですね。