実は、トイレです。
北青山にあるGallery ART SPACEのトイレなんですよね、これが。
ART SPACE LAVATORYと銘打ったギャラリーでの展示です。
この展示は上手いです。
座布団一枚です。
もしこの作品が普通の画廊空間にあったとしても充分なクオリティはあります。
でも、この空間にあるのはとっても素敵です。
トイレも雰囲気良いです。
和式であるところが◎ですね。
最近のドレスアップされた洋式トイレに置くより、ここの方が断然合っています。
この作品は、厚化粧の抗菌よりナチュラルな空間です。
くわたさんはこの空間を上手く捉えています。
ここで、くわたさんの展覧会によせた言葉をご紹介します。
私達は、来る日も来る日も、食べては排泄するという行為を繰り返しています。
それは、生きていることの証であり、生き物としての基本的な営みです。
私は、「かつて生き物の一部であったもの」を素材として作品を制作しています。
それらのものは、生と死のどちらにも属さず、両方の匂いをたたえた、境界線上の存在です。
この展覧会では、トイレという象徴的な空間で、食用された魚の骨を使ったインスタレーションを行います。
食事と排泄の心理的距離は遠いものです。
しかし、人間の身体の入口と出口と考えればその距離は近いものでもあります。
これを図式的に展示したら面白くなかったと思います。
この展示が図式になっていないのは、そこに<骨>という不思議な媒体が介在しているからです。
それが、この展覧会を成功させている思います。