iGallery's eye


iGallery's eye vol.7
「Dolls」郷司基晴・三浦和紀展(2)
GHOSHI Motoharu・MIURA Kazuki


「Dolls」郷司基晴・三浦和紀展(1)の続き




バービー人形の製作コンセプトは、「大根一本を買いに行けないファッション」だそうです。
確かに、このゴージャスな衣装では大根を買いに行けませんね。
この過剰な装飾性は日常とかけ離れています。
デカダンスが濃厚で、(多分)女性の誰もが夢見る、一生に一度の晴舞台に近いと思います。
(「わたしが、主役よ!」)

作品の根底にあるのはマニエスリムです。
マニエスリムとは、ルネサンスからバロックへの移行期に興った芸術様式です。
社会的な混乱による精神的危機を反映し、錯綜した空間構成、非現実的な色彩法、幻想的寓意性など、極度の技巧性・作為性を特色とします。

一体一体に込められた極度の技巧と幻想。
それが150体近く並べられた展示は、一種の眩暈(めまい)を起こさせます。
この眩暈の正体は何でしょうか。
この度を過ぎたな華美と耽美は何でしょうか。

世の中は、(同じフィギュアでいえば)村上隆のスーパーフラットです。
それと真っ向から反する郷司・三浦のマニエスリム。
この対比はとても面白いと思います。
作品の完成度、コンセプト(大根を買いに行けない!)の深さでは、互角です。

木造のアパートの一室で、二人の男によって、せっせと作られた厖大なバービー人形。
その細部まで異常に神経の行き届いた美しさ。
それは世間と隔絶していながら、世間の鏡になっているように思えます。
どのような鏡になっているか、それは貴方が考えて下さい。
一体一体をじっくり見て、楽しみながら・・・・。

ご高覧よろしくお願いいたします。

iGallery's eye vol.7 「Dolls」郷司基晴・三浦和紀展
2010年 3月4日(木)ー3月16日(火)
13:00ー22:00
水曜定休

「Dolls」郷司基晴・三浦和紀展/テキスト
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