季節が春から夏に移るころ、そう、五月の初旬から半ばごろにかけて。
陽射しが少し強くなって、二の腕にあたる光に熱さを感じる季節です。
この夏の初めの季節は、好きです。
半袖のシャツやポロシャツに涼しさを感じますが、Tシャツ一枚だとちょっと不安。
そんな季節ですね。
ある休日の朝食後、自転車に乗って近所をサイクリングしてみました。
緑の草が覆う川の土手の未舗装の道。
そこをグイグイ進んでいくと、林が見えました。
土手を降りて林に入ると、サッカーのグラウンドがあります。
ゴールがあって、あとは土のグラウンド。
周りは緑の樹木。
な〜んにもなくて、気持ちが良い。
木陰が涼しそうで、夏の匂いがします。
遠い、遠い、昔の記憶が蘇ってきます。
あれは、小学校のグラウンドでした。
な〜んにもないグランウドでしたが、学校で一番解放的で自由な場所でした。
教室から一歩グランドに出ると、新鮮な空気が胸に一杯入ってきました。
胸に入った新鮮な空気は頭に昇って、頭の中はグラウンドのように広さに満たされる。
あの解き放たれた感覚が、蘇ってきます。
夏の初めと、な〜にもないグラウンドは、似合っています。
そこにあるのは、少しだけ強い陽射しと土と緑。
その三つが醸し出す匂い。
汗が心地よく、空気が身近で、空が本当に空であるような・・・・。
サッカーのグラウンドの隣にも小さなグラウンドがありました。
小さなグラウンドなので、樹木の影が大きく土を覆っています。
ひんやりした影の土は、又違った空気の匂いで心地良い。
小さなグラウンドの端には用具置場のような建物があります。
でも、古びていて使っていない様子。
忘れ去られたような、誰もいないグラウンドです。
グラウンドに入る小さな道の反対側には池があります。
池の向こうの赤い屋根はこの地域の民俗資料館です。
ここは甲府市の東端の上阿原という地区です。
直ぐ近くには甲府バイパスが通っているので、クルマの音が微かに聞えます。
池の水にも、夏の初めが訪れているような気がします。
池を一周りして、元のグラウンドへ。
やはり、な〜んにもなくて夏の初めだけがあるグラウンドです。
わたしは夏の初めが、好きです。