昨年の暮、住居(山梨)の近所で「ユニクロ」と「ドンキホーテ」が相次いでオープンしました。
近所といっても徒歩で10分ぐらいありますが、クルマ社会のイナカでは直ぐ近所になります。
甲府バイパス=国道20号線(甲州街道)にオープンした「ユニクロ」です。
この「ユニクロ」、正確に言えば新規オープンではありません。
この場所から約1Kmぐらい西にあった店舗の移転です。
移転に伴って、店舗の意匠も(恐らく)最新の「ユニクロ」になりました。
広い駐車場は同じ敷地を共有する「ユニクロ」と「牛角」の専用です。
焼肉の「牛角」は画像の右側にあります。
さて、この新しい「ユニクロ」の建物の意匠、わたしは結構好きです。
モダーンデザインの典型で、プレーンなボックス(箱)です。
店名のサインもシンプルでスッキリしています。
ローコストで倉庫のような建築ですが、それが商品の安さをアピールしています。
しかし、安っぽさはありません。
「ユニクロ」の商品と共通する意匠です。
建物の左側にあった屋上への階段です。
屋上の点検用の階段ですね。
石のように見えるが、それよりは遥かに軽やかな新建材とガラスと金属。
モダーンですね。
上の画像は、そのモダーンさを切り取ってみました。
一時落ち込んだ「ユニクロ」の業績は回復したようです。
ファッション性と女性客に焦点を合わせた戦略が功を奏したのでしょう。
建物の内部(売場)はアイテム別にキレイに区画され、商品をゆっくり選択できるようになっています。
外観同様、良い意味でのチープさはありますが、安っぽさはありません。
今度は側面からのショットです。
モダーン(近代)デザインとは「普遍」の具現化で、「固有」を切り捨てて成立しています。
わたしの思考の中では「普遍」は悪しき言葉ですが、こと意匠の問題になると、その冷たい物質感に負けてしまいます。
金属やガラスやプラスティックの表情に、負けてしまいます。
これはもう、性(さが)みたいなものです。
建築や生活用品に「普遍」と「民主主義」をデザインしたのはバウハウスです。
いわば「市民」のためのデザインです。
「ユニクロ」の店名は、性別の普遍化であるユニセックスの意もあります。
バウハウスとは異ったベクトルからやってきた「普遍」です。
「市民」ではなく、「消費者」のためのデザインです。
ノンデザインの「無印良品」も、「消費者」のための普遍的デザインをセールスポイントにしています。
近所にオープンした「ユニクロ」は、イナカにやってきたバウハウスです。
そのデザインの質はともかく、「市民」と「消費者」の間に本質的な意味の違いはありません。
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甲府バイパスです。 山の見える方角が東京方面で、「ユニクロ」のある交叉点の向かいは「BOOK-OFF」です。 地方のどこにでもある、風景ですね。 その「BOOK-OFF」の先に「ドンキホーテ」がオープンしました。 |
ジャーン!!
「ドンキホーテ」です。
スゴイ建物ですね!
それもそのはず、この建物はかれこれ20年前に秘宝館として建てられたものです。
秘宝館、そうですエッチ系のエンタメです。
それが潰れて、ホームセンターになり、ゲーセンを経て「ドンキホーテ」になりました。
建物もスゴイが、看板もスゴイですね。
なりふり構わずというか、同じ「安さ」を売り物にしていても、「ユニクロ」とは大違いです。
ここの「ドンキホーテ」は生鮮食料品も扱っていて、一階は青果や精肉の生鮮館です。
建物の裏側です。
この配色には、負けますね〜。
どうしたらこういう配色ができるのでしょうか。
建物だけでもインパクトがあるのに、この配色ですからね〜。
日本一の「ドンキホーテ」じゃないでしょうか。
内部は噂通り、天井まで積上げた商品で迷路のようになっています。
どこに何があるのか分らない、独特の売場構成です。
消費のエンタメですね。
良くいえば、バザール(市場)的です。
対照的な「ユニクロ」と「ドンキホーテ」をご覧いただきました。
この二店のオープンは界隈を活性化しています。
いつまで続くか分りませんが、とりあえずは賑やかになっています。
消費は必需から意匠に変わって、随分と経ちました。
その意匠もコロコロ変わっています。
まぁ、ここで偉そうなことを書いているわたしも、コロコロ変わる消費の意匠に翻弄されている一人です。
でもね、もうそろそろ飽きてきました。
「騙すなら、死ぬまで騙して欲しかった」という歌謡曲の歌詞がありましたが、
その心境なんですよね、今は。