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中空(ちゅうくう)とは、空(そら)のなかほどのことです。
中空にかかる月、といった使い方をしますね。
中空を「なかぞら」と読むと、心が落着かぬ、中途半端の意味もあります。
本来の中空の意味とは異りますが、中層のビルからの眺めは中空の形容が似合います。
高層ビルのすべてを見下ろす感じでもありませんし、低層(2.3階)では空の中にいる気がしません。
空の中にいるのだけれども、何となく中途半端な高さ。
中途半端だから心が落着かないのかもしれませんが、それが中空(中層ビル)からの眺めです。
中層ビルとは何階建てまでを指すのか分りませんが、わたしがイメージするのは10階前後。
この高さからの眺めが、わたしは好きです。
地上から遊離した気分があって、しかも地上のディティールを肉眼で確認できます。
高層も好きですが、どこで見ても眺めが一様になってしまうのが欠点です。
東京は上野にある東京芸術大学の美術棟からの眺めです。
7階からの眺めと記憶していますが、それよりは高く見えますね。
芸大のある上野の公園側は高台ですから、平地であれば10階以上の眺めに相当します。
それに建物の天井も高いので、階数よりは高い所からの眺めになっています。
撮影場所は美術棟のアトリエの窓からです。
上の画像はこの窓の正面方向の景色です。
カメラを少し、右方向に振ってみましょう。
このような景色になります。
景色は逆光で幾分暗くなっています。
周りに高い建物がないので、本当に眺めの良い場所です。
高いけれどディティールも見える。
中空(中層)の高さの眺めです。
大きく取られたアトリエの窓、上部は不透明の白いガラスで、下部が透明です。
アトリエですから北向きだと思いますが、周囲に光を遮るものがありません。
細長い建物にアトリエが箱のように並んでいて、アトリエの反対側(入口)は長い廊下になっています。
廊下にも窓が沢山取ってあります。
そちらからの、中空の眺めもご覧下さい。
左は階段、トイレ、部屋などの、所々にある建物の出っ張り(だったと思います)。
森がありますね。
その向こうに街が見えます。
丸の内、銀座方面なのでしょうか。
(わたしは方向に弱いので、定かではありません。)
撮影場所を少し右に移動して、街の全景を撮ってみます。
空が、キレイですね。
ボンヤリと霞んだ遠景の街は、絵のようです。
(手前の森が街を効果的に見せているのですね。)
ところで、わたしが何故美術棟にいるかといえば、美術学部の卒業制作展を観に来たからです。
藍画廊のアシスタントであるKさんやNさんは芸大の学生で、二人とも今年卒業です。
Nさんは大学院を、Kさんは学部を卒業します。
(二人とも、実に良く働くアシスタントです!)
それから、わたしの企画展でお世話になったYさんも今年大学院を卒業です。
まぁそれで、美術棟にいるわけですが、ここからの眺めも楽しみでした。
数年前にYさんのアトリエ展をここに観に来たことがあります。
その時も撮影して、「iの研究」の画像で使用しました。
それでは、階段からの眺めもご覧いただきます。
不思議な画像ですが、特殊な処理はしていません。
階段の窓越しの撮影ですが、その窓が汚れていた所為です。
他の窓はそれほど汚れていないのに、階段の窓だけは異常に汚れています。
建ててから一度も拭いたことがないかのように、汚れていました。
(拭けない場所なのかもしれません。)
でも、その汚れがフィルターのような役目をして面白い画像になりました。
右下の規則正しい屋上がアクセントになっています。
階段の窓からの撮影を、もう一枚ご覧いただきます。
窓が景色をモノクロームに変えていますね。
階段からの撮影は、階数が下がった場所です。
少し下がっただけですが、眺めが違います。
中空からの眺め、お楽しみいただけましたでしょうか。
今度機会があったら、屋上から撮影してみたいと思っています。
より、中空からの眺めになる筈です。