堀を後にして、自転車を城の南側の街並みに向けました。
この周辺(オリオン街の裏)は、空洞化の進む市内中心部の商店街で例外的に活気のあるところです。
若者系のカフェ、レストラン、バーやセレクトショップ、カットハウスが集まっています。
以前一度だけ入ったことのあるカフェに行ってみると、
クローズド、ですね。
隣にあったセレクトショップ共々撤退したようです。
右側の赤い扉はアコーディオンになっていて、夏は開け放っていました。
公園(城跡)と街中の間の微妙な立地が面白く、開放感のある店だったのですが、残念。
ガラスが新聞で覆ってあるのは内部を見せない為でしょうか。
(あるいは、日除け?)
その新聞が英字新聞なのはオシャレだったカフェの名残ですが、よく見ると・・・・。
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通常の記事や宣伝に交じって、ポルノグラフィックな宣伝が何ヶ所かあります。
女性のヌードに交じって男の裸も。
穏やかなエロとエグさですが、それでも白昼の街で見ればドキッとします。
街中に潜そませた、微かな毒。
このセンスはナカナカです。
(英字新聞を貼るのはかなり恥ずかしいオシャレなのですが、ポルノで大幅に得点がアップです。)
と、感心しながら隣のクローズドしたセレクトショップの方に目を向けました。
こちらには何も貼ってなく、全面ガラス張りの店内が見えます。
ガラスが薄いグレーで、しかも汚れがあるので、ガラスに近づかないと中の様子が良く見えません。
陳列の黒い大きなテーブルと壁の棚が残っているだけで、後は空っぽです。
元々が流行りのシンプルな内装で余計な装飾がありませんでしたから、商品を撤去しただけにも見えます。
内部を撮影しようと思ったのですが、光の映り込みが激しく、外の風景の方が鮮明に写ってしまいました。
左下の黒い長方形がテーブルで、その上の横長の黒いバーが棚です。
映っている正面の店はバイク屋さん、だったような気がします。
撮影ポイントを変えて撮ってみましたが、やはり映り込みの方が強く出てしまいました。
それでもこちらの方が多少は分りやすいかと思います。
この画像ですと床も黒に見えますが、確かな記憶はありません。
(手前の映り込んだ自転車は、わたしの愛車です。)
視線を店舗の右側に移すと、独立したステンレスの棚が見えます。
入口から奥に向かって、右側の壁に渡してある棚です。
小物をディスプレイしてあった棚なのでしょうか。
そこに、一条の光が差し込んでいます。
光の背景に映り込んだ街は、陰画のような仄暗さです。
上の二つの画像の映り込んだ街とは、様相が違います。
(1)の「向こう側」には負けてしまいますが、この光が差し込んだ景色もどこなく「向こう側」です。
記憶の底に眠っている、遠い昔に見た町の様でもあります。
光の戯れは、思いがけないところで「向こう側」を垣間見させてくれます。
風景を撮る楽しみの一つは、そういった「向こう側」と出会えることです。