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南の島からの便り


突然の手紙で驚かれたと思います。
まぁ、いろいろありましてね。
ともあれ、今はそちらからは遠く離れた南の島で生活しています。
失踪のような最後でなにかとご迷惑をおかけしたかもしれませんが、長年の付き合いに免じてお許し下さい。

こちらのでの生活は(生活といってもホテル暮らしですが)、まずまずです。
早いもので半年になります。

手紙を書いたきっかけは、同封した写真です。

ホテルの前の海岸で撮ったものです。
モノクロームのフィルムで撮りました。
何か、今のわたしの心境が写されているような気がしたんですよ。
それで、誰かに見てもらいたくて失礼を承知で書いています。

写真は撮ってますよ。
カメラは持参しました。
古いカメラですが、勝手が分かっているので手放せませんね。

そっちを発つ前に空港でデジタルカメラも買ったのですが、ほとんど使っていません。
島の風景を少し撮っただけ。
わたしには使い難いです。

そうそう、コンピュータも置いてきました。
迷ったのですが、しばらくそういった生活から離れようと思いましてね。

考えてみたら、コンピュータを置いてきてデジタルカメラを買うなんてバカですね。
今持っている電子機器は電卓だけです。
通貨の換算に便利だと思いましてね、これも空港で買いました。

でももう使っていません。
一週間もすれば頭の中で換算ができますし、一月も経てば現地の通貨が基準になりますから。
これもムダな買物でした。

今は、朝の六時です。

五時に起きて、洗顔して部屋の掃除が終って、手紙を書いています。
朝食は八時なのですが、その前にボーイがコーヒーを持ってきてくれます。
彼は自分のコーヒーもプレートに載せてきて、しばらくわたしと話をします。

美味しそうなコーヒーでしょ。
いつも、わたしのライティングデスクの上に置いてくれます。
紙や筆記用具で散らかっているデスクに、そっと置いてくれます。

彼はボーイといっても中年の男で、わたしとそう歳が変わりません。
言葉は通じないので、カタコトの英語と身振り手振りで会話します。
別にたいした会話ではないのですが、彼とは相性が良くて、この時間をわたしも彼も楽しみにしています。

島でわたしが親しいのは彼と、猫です。

海岸に住み着いている野良猫です。
可愛いと思いませんか。
朝食の後、午前中は海岸で過ごすのですが、たいていこの猫と一緒です。
こいつとも言葉は通じないのですが、相性はバッチリです。
砂浜でゴロゴロして、遊んでいます。

ホテルのわたしの部屋は、

号室です。

木造の小さなホテルの、二階の南西の角にある部屋です。
午後はこの部屋で文章を書いたり、意味もない文字を書いたりして過ごします。

偶には音楽も聴きますが、部屋にあるのは小さなスピーカーが付いたラジオだけです。
陽にあたって疲れときは、ベッドに横たわってスピーカーから流れる音楽を聴き続けます。

昔観た映画の音楽が流れると、流石にそっちのことを思い出してしまいます。
楽しかったあの頃です。

今は、実に無為な生活を送っています。
この生活もそう長くは続かないと思います。
しばらくすれば、いくら物価の安い島とはいえ、持ってきたお金が底をつくからです。
そのときは、又考えます。
そっちに帰るか、こっちで仕事を見つけて働くか。
(仕事といっても、掃除夫ぐらいしかできないでしょうが。)

無為な生活。
わたしはいつも有意義な生活をしようと心がけてきました。
というより、有意義の強迫観念に取り憑かれていました。
(振り返ってみれば、有意義な生活など全然送ってこなかったのですがね。)

こちらに来てからは、何もしない生活を余儀なくされました。
仕事もないし、やるべきこともほとんどありません。
最初は落着かなくて困りましたが、日が経つにつれそういう生活がシックリくるようになりました。

逃亡者の戯言とお笑い下さい。
わたしは心の底で、無為の生活に憧れていたのかもしれません。
でもそれを恐れる気持ちも同時にあって、中途半端というか、いい加減な生活に終始しました。
人生の落後者になるのが怖かったのですね。

ま、今でも怖いですけど。
期間限定の落後者を楽しんでいるのに過ぎません。
同封した写真は、そんな自分が良く現れている気がしました。

恥ずかしいことをツラツラ書いてすみません。
これも長年の付きあいに免じてお許し下さい。

又手紙を書くかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
(お忙しいと存じますので、返信は不要です。)




前回に続き、MacOSX(テン)のアイコンです。
アイコンを挿し絵がわりにして、お粗末な一文を書いてみました。
今回は、アプリケーションのアイコン、システム関係のアイコン、ドキュメント(書類)のアイコンを使用しました。
とりわけ気に入っているのは、ドキュメントのアイコンです。
紙の一角が内側に曲がっているアイコンです。

これですね。
多分ファイルの情報プレビューで現れると思いますが、実際には目にしたことはありません。
かなり特殊なファイルなのでしょうか。
(今回もすべて不可視ファイルです。アイコンのファイルは概ね深い階層にあります。)

あっそれから、猫のアイコンはDeveloper Toolのフォルダに入っていました。
(Developer ToolはMacのハードを買うとオマケで付いてくる開発者用CDです。サイトからもダウンロードできます。)
何のアイコンなんでしょうね?
可愛いけど、不思議です。

さて、この一文がツマラないと思った人は遠慮いりません。
ゴミ箱に捨てて下さい。
ちゃんと用意しましたから。



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では、又。




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