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昭和と平成


平成も今年で十四年、昭和も徐々に遠い過去になりつつあります。
昭和を象徴する出来事、事件、人物、文化等は数多くあります。
昭和を代表する建築物もいっぱいありますね。
わたしはその中でも、丸ビルと東京タワーに最も昭和を感じます。

丸ビルの竣工は大正十二年です。
出来たのは大正ですが、そのほとんどの歳月は昭和の歴史と共に送っています。
昭和を代表する建築物といっても間違いではないですね。
その丸ビルが、つい最近建て替えられました。



上の画像、サイバーですね〜。
いきなりサイバーな風景です。
これは新しい丸ビルの一階のアトリウム広場です。
吹き抜けの広場に吊り下げられた透明な球体とチューブ、球体の中にはモニター。
モニターの画面に映っている、最前でカメラを構えている人はわたしです。

今年(2002年)の九月六日にオープンした新しい丸ビルですが、わたしが行ったのは数週間後です。
京橋の藍画廊から丸ビルまで、歩いて15分ぐらいでしょうか。
閉廊した後に出掛けて撮影しました。
このアトリウム広場の装置はビル付帯設備と思ったのですが、後日行ってみると姿を消していました。
オープン時のみの展示(美術作家の作品)だったようです。


左は五階のカフェテリアです。
採光と開放感を重視した、今どきのデザインですね。
36階建で、B1〜6Fと35,36Fがショッピング、レストランゾーンになっています。

連日観光客で大賑わいなのはテレビ、新聞で御存じかと思います。
わたしが最初に行った夜は、若い女性やカップルが多く、二度目に行った昼は、中年女性が目につきました。


二度も行ったのは理由(わけ)があって、三十六階のロビーから東京の景色を撮りたかったからです。
ビル内の商店街はほぼ予想通りでしたし、何度も足を運ぶ気はおこりませんでした。



丸ビルからレインボーブリッジ方面の眺めです。
逆光で光が散乱していますね。
いつもは逆光は避けるのですが、光の散りぐあいが面白かったのでシャッターを押しました。
ロビーから見える景色はビルの一面からだけで、他の三面はレストランに入らないと見れません。

旧丸ビルの商店街は、わたしの生れる前から、つまり戦後まもない頃や戦前の昭和の薫りが漂っていました。
一般的にビルの中の商店街は、路面店と違って商圏にライバル店がないので、改装がほとんど行われません。
時として、そこだけ時間が止まったような風景になります。

旧丸ビルに足を踏み入れると、自分の生れる前の時代にタイムスリップしたような気分になりました。
中でも一階の千疋屋(フルーツパーラー)。
看板やファサードもレトロでしたが、開業以来変わっていないと思われる客席が実にクラシック。
この客席でランチのフルーツサンドイッチを食していると、今がいつの時代か分からなくなりました。

丸ビルの正式名称は、丸の内ビルヂングです。
「ビルディング」じゃなくて、「ビルヂング」。
この名称は昭和前半の響きですね。
旧丸ビルは、昭和の重厚で濃密な匂いを内外にまとった建築物でした。

一方、新しい丸ビルは紛れもなく平成の建築物です。
ライト(軽くて)で、明るくて、開放的で、空間の密度が薄い、平成の雰囲気そのものです。
同じ丸ビルという名称の建物でありながら、その違いは歴然としています。
そこに漂っている空気はまったく別のものです。

もし貴方が幸運にも古い丸ビルに足を運んだ経験をお持ちなら、是非新しい丸ビルにも行かれるべきです。
昭和と平成の違いを、言葉でなく全身で感じることが出来ると思いますよ。
時代が変わったことを、一つの建築物で体験できます。


こちらは上の画像より右寄り(皇居より)の景色です。
右下に皇居のお濠が見えますね。
お濠の上の方、ビルとビルの間で微かに尖っている細い塔が見えますか?
東京タワーです。

新しい丸ビルは特に変わったところもなく、個人的にはつまらなかったのですが、丸ビルへのアプローチ(道筋)はステキです。
有楽町駅から丸ビルに向かう、丸の内仲通り。
夜この通りを歩くと、ロマンティックです!
街路のイルミネーションと通り沿いのショップの灯が入り交じって、実にファンタスティックです。
丸ビルでデートするなら、東京駅ではなくて有楽町で待ち合せです、ね!


古い丸ビルは、どことなく大人の世界の雰囲気がありました。
丸ビルに勤務する人が通う飲屋は、やはり銀座のバーでしょうね。
接待系ではなくて、バーカウンターだけのバー。

丸ビル見学の日の夜、知人の展覧会を観に「ギャラリー・バーKajimaに行ってきました
銀座のバーです。
日比谷寄り首都高下の商店街、銀座コリドー街のすぐ近くです。


バーカウンターのスペース以外に、左のような展示用スペースも設けられたバーです。
もちろん、こちらでの飲食も可能です。
バーカウンターの渋い雰囲気と、ホワイトキューブのギャラリー空間が違和感なく同居しています。


開催中の立石有美展の展示風景です。
立石さんとは古くからの知合いで、相互リンクを貼っていただいている仲です。
展覧会の情報と「ギャラリー・バーKajimaのインフォメーションは、立石さんのこちらのページをご覧下さい。


居心地の良いバーと、気持ちの良い絵画。
残念なのは、クルマだったのでお酒が飲めなかったことです。
山梨に帰る日だったので致し方なかったのですが、次回はしっかり飲みたいと思います。




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